日本統一7では、日本統一5から続く氷室と田村の争いに決着が付き、同時に侠和会の次期若頭の座を巡った出世競争も集結します。
大阪抗争は、武力抗争というより吸収合併をくりかえす陣取り合戦なので、少々理解が難しいところがあるかもしれません。そこで今回は大事なポイントに絞ってわかりやすく解説していきます。
本作最大の見所は、三上の氷室や田村にたいする優しさです。本作の三上をみて「一番好きなキャラクターは三上!」という人も多くなったほどなので、見どころはたっぷりです。
「日本統一7」あらすじ
渡部が襲われる
侠和会には「信闘会の残党が大阪極道に匿われている」という情報が入り、侠和会本部長である渡部は、大阪の大和組、小橋と会合する予定でした。
ところがその情報が信闘会の残党である岩田の耳に入り、襲撃してきます。渡部は無傷に済むが部下が怪我をしてしまい事件に発展、小橋との会合は破談におわります。
侠和会は襲撃された事を理由に、正面切って大阪に攻め入る口実になると考え、宣戦布告をします。
一方の大阪は、北仁会、小桜一家、岡地組、石村組、大和会という5つの極道組織があり、武闘派は北仁会のみで、4つの組織は侠和会に怯えるばかり。どうしたら生き残れるか悩み始めます。
三上と田村
三上は田村の氷室にたいする怒りを危惧し、田村を説得しようとします。
氷室が川谷の元にいったのは、「氷室と田村が争いになりそうだったから、三上自身が川谷に無理を言ってお願いしたのだ」と言いますが、田村は大宮と同様納得しません。
そこで三上は大宮を殺したのは誰か教えようとするのですが、渡部襲撃の一方が入り、田村が飛び出していってしまい、言いそびれてしまいます。
三上は大宮を殺してしまったことが深く傷になっており、氷室と田村を同じ目には合わせまいと、自分の出世より二人の未来のために何が出来るかを考え始めます。
三上と川谷
侠和会では三上と川谷のどちらが侠和会若頭になるか出世競争になっているのですが、三上は川谷を呼び出し個人的に話し合います。
三上は若頭になるつもりがなく川谷に譲ると言い始めます。そうすれば出世争いはなくなり、田村と氷室の争いを避けられると考えているようです。
(三上は、田村と氷室のいざこざがなくても、元々自分には若頭など身分不相応と思っている様子です)
川谷は「自分たちのために命を貼ってる若いもののためにも、身を引くのはだめだ!」「氷室と田村が揉め始めたら、俺たちが腹を切ってでも止めればいい」と説得しますが、三上は仏のように優しい顔で「全部わかってる」と言います。
三上は引退する気のようだと感じた川谷は「それだけは絶対にだめだ!」と告げますが、三上の意思は硬いようです。
大阪抗争開始
氷室は抗争が始まる前から情報収集し、現地に部下を潜り込ませていました。
そのおかげで三上組より先手をとり、まず、大阪の中でも最も穏健派の小桜一家の中村を小突き、すぐに川谷組に吸収してしまいます。
氷室の作戦は、「侠和会になびきそうな所から、吸収していき、被害を最小限に迅速に収束させる」というものです。
すると田村はもっとも侠和会に闘志を燃やす北仁会に攻め込み、金澤と対峙します。一触即発の事態となりますが、金澤の根性に惚れた田村は、「俺のもとについて暴れようぜ」と金澤を勧誘します。金澤は田村の男気に惚れ、三上組の傘下に入ります。
氷室はもちろん、大阪極道にとっても北仁会が降るというのは予想外の出来事で、両陣営に激震が走ります。
そして次は氷室が対抗するように石村一家を傘下に入れ、それを追いかけるように田村が岡地組も傘下に入れます。
こうして最後に残るのは大和会と信闘会の残党である岩田だけとなります。
氷室の勝利
氷室の元には、獄中で兄弟分となった神農極道(的屋系といわれる侠和会などとは全く別のベクトルの極道)や秋元の子分となった若宮が助けに来ます。
若宮といえば、元は秋元の兄貴分であり、性格の悪い最悪な男でしたが、今は秋元に惚れて芯の通った極道になった様子です。若宮の手腕で大和会は崩壊し、組をたたみます。
(若宮は今度も幾度となく登場する重要な人物なので覚えておくと良いでしょう。)
次に氷室は「信闘会の岩田は、京都に逃げているのでは?」と予想をたて、匿っていそうな田島会を突き、岩田を仕留めます。
ついでに、岩田を匿っていた事を口実に田島会を脅し、川谷組の傘下にいれてしまいます。大阪どころか京都の一部まで収めてしまった氷室の手腕には、さすがの侠和会幹部も驚きます。
真相を知る田村
氷室を恨んで暴れまわる田村を見かねて、健太が大宮事件の真相を話します。
「大宮が手を付けられないくらい暴れていて、侠和会全体で問題になっていた」「そのことが原因で破門になり、逆上した大宮が山崎組の幹部をさらって立てこもってしまった」「氷室が事を荒立てないように自ら破門になって大宮をとめようとした」などです。
特に田村に衝撃を与えたのは「大宮を殺したのは三上だったが、そのことが全体に知れ渡ると三上の立場が悪くなるとおもい、氷室が罪をかぶっている」という事です。真実を知った田村は衝撃を受け、それと同時に氷室を信じきれなかった自分に嫌気が差します。
氷室VS田村
氷室の功績から、侠和会の次期若頭は川谷が濃厚となります。その敗北と大宮事件の真相をしった田村は酔いつぶれてボロボロ状態になります。
田村の子分達は「三上や田村のために!」と川谷組に喧嘩をうり、構成員の一人をボコボコにしてしまいます。
襲撃に怒りを感じた健太は三上組の構成員一人を車で轢き、三上組と川谷組の内輪抗争がはじまりそうになります。そこで氷室は田村を電話で呼び出し、一騎打ちを申し出ます。
実は田村は負ける気でおり、その事を氷室に見抜かれ「俺を殺して丸く収めてくれ」というが、氷室は「俺がお前を殺せるわけがない」といい、田村を許します。
田村は氷室の元に戻ろうと、三上に土下座をして三上組を抜けようとするが、三上は自分が引退し、三上組を田村に譲ると言います。
三上は「仲直りしたのか、良かったよかった!」「俺には良い跡目(田村)ができたなぁ」と晴れ晴れとした顔で、田村はその思いに涙します。
こうして三上組の頭となった田村は山崎組に吸収され、川谷は侠和会の若頭になると同時に、侠和会全体の3分の1の構成員をもつ最も大きな組を持つことになります。
「日本統一7」登場人物
氷室 蓮司
【侠和会】侠和会 山崎組
日本統一シリーズの主人公。親友の田村と共に極道入りし、川谷の下で日本統一を目指します。
頭が切れる策士タイプで、仲間内には優しく争いを好まない。ただし敵や気に食わない事にはキレやすく暴力的になる一面もあります。
川谷はどんどん出世させようとしていますが、本人はあまり納得がいっていない様子です。
田村 悠人
【侠和会】川谷組 若頭
日本統一シリーズのもうひとりの主人公。氷室を慕い、共に日本統一を目指しています。川谷の事も尊敬していますが、どちらかといえば全ては氷室のためでした。
ところが現在は慕っていた叔父貴分の大宮が氷室に殺されたと思いこんでおり、仲違いしています。
川谷 雄一
【侠和会】山崎組総長
氷室と田村の命を救い、極道入りさせた張本人。自身の力だけでなく人を見る目もあり、人情味もある根っからの親分肌。
本作では侠和会No2の若頭に就任し、より一層立場を強くします。
三上 哲也
【侠和会】三上組組長
氷室と田村が最初に付いた親分。部下の面倒見が非常によく、三上組の極道達は非常に慕っています。
あまり出世欲はなく、可愛い子供(子分)や兄弟分が幸せであれば良いと考えています。本作で三上組を田村に譲り引退します。
●尾本 明良
【侠和会】若頭代行
侠和会に古くから席をおく重鎮で、厳しくも優しい懐の深い人物です。
川谷や三上も叔父貴分として大事にしており、「めいぶつおじさん」のような愛嬌のある人物として描かれています。
●斉藤 浩樹
【侠和会】川谷組若頭
氷室や田村と愚連隊の頃からの仲である、彼らの懐刀です。大宮事件の罪を被り、長い服役に入りました。
●菅谷 謙太
【侠和会】龍征会 会長
氷室の姉の子で、氷室にとっては甥。あまり考えずに突っ走るタイプです。
周りに迷惑をかけることが多々あり、本作ではついに侠和会を破門となってしまいます。
氷室に心酔しており、氷室のためなら何でも出来ると考えているあたりは、田村と通じるところがあります。
工藤 雅信
【侠和会】二代目会長
初代の後をつぎ、日本統一2から侠和会の会長として組を引っ張ってきた人物。
自分の地位名声には固執しておらず、すべては初代の夢である極道界の日本統一のために動いています。
どちらかといえば理性的で頭脳派なタイプで、むやみに抗争を起こすことは望んでいません。
●渡部 圭太
【侠和会】本部長
工藤組系列の極道で、工藤にとっての腹心。
上司である工藤や川谷と部下である財前などの間に挟まれた中間管理職のような立場となっており、苦労を重ねています。
●中島 勇気
【侠和会】中島組組長
氷室や田村の指示に従う、いわゆる氷室一派の一員。普段は軽快で冗談も言うような気さくな性格ですが、氷室の敵や組の敵に対してはかなり無愛想な人物。
頭の回転はそこまでよくないようですが、空気は読めるタイプ。
●馬場 伊左雄
【侠和会】若頭補佐
馬場は侠和会のNo3の位置にいる重鎮。野心家で単純そうに見えますが、実は懐の深いところもあり、1世代前の極道を地でいく男といった印象です。
会長やNo2である川谷の心づもりを理解して行動しています。
●町田 駿
【侠和会】山崎組 若頭補佐
町田は氷室や田村が愚連隊の頃から付き合いのある古株です。
冷静沈着で突発的なことはせず、氷室や田村の指示通りに動く忠実な部下とも言えます。
●川上
【侠和会】山崎組 若頭補佐
町田は氷室や田村の子分のような存在で、学生時代から付き合いのある男です。
面倒見がよく、辛抱強さもあるので、ここぞというときは二人に頼られています。
●大宮 和也
【侠和会】三上組内・大宮組 組長
三上の相棒でかなりの武闘派でしたが、彼のスタンスと時代が噛み合わず、会からも疎まれて逆上、氷室を殺そうとして三上に殺されてしまいました。
●かやの
【侠和会】三上組内・大宮組 若頭
大宮を支えていた組の若頭でしたが、大宮が死んでしまい、今は田村のもとで若頭として奮闘しています。
●小橋 雅俊
【大阪極道】大和会 会長
大阪極道の中でもとくに利己的で根性なしな人物。岩田を抱え込んで大宮極道を破滅に追いやった人物とも言えます。
侠和会のあまりの恐ろしさに引退してしまいました。
●中村 哲夫
【大阪極道】小桜一家 組長
大阪極道の中でも穏健派で、侠和会と闘うのは無謀と考えている人物。
町田の脅しのような勧誘に負け、戦わずに侠和会入りします。
●岡地
【大阪極道】岡地組 組長
大阪極道の中では、侠和会と闘うのは無謀と思っているが、侠和会入りするのも嫌だと迷っている人物。
結局、侠和会の力にまけて侠和会入りします。
●石村
【大阪極道】石村組 組長
岡地と同じく、大阪極道の中では、侠和会と闘うのは無謀と思っているが、侠和会入りするのも嫌だと迷っている人物。
川上の勧誘で侠和会入りします。
●岩田
【信闘会】残党
侠和会内でクーデターを起こした信闘会の残党です。侠和会には深い恨みを抱えており、復讐しようとしていましたが殺されました。
金澤 宏之
大阪極道】北仁会会長
大阪極道の中では唯一の武闘派で侠和会と戦おうとしますが、田村に負けて侠和会入りします。
大阪極道の中では唯一、しばらく登場する重要人物です。
秋本 照政
【丸神連合】三田組 組長
関東を統べる丸神連合の重鎮で、丸打組と水神会を合併させることに心血を注いだ人物。
氷室とは兄弟分の仲となっており、お互いにトップになるまでは極力争わないようにいようと決めています。
若宮 猛
【丸神連合】三田組幹部
日本統一1から登場している関東の極道。当時は性格の悪いイヤな人間でしたが、心変わりして今では度胸も人情もある立派な男。
秋本不在の間、三田組を支えており、氷室とも兄弟分の間柄です。
●宮本 稜治
【政治結社・右翼】宮本同友會政治連盟議長
氷室が刑務所に服役している頃に知り合った男で、氷室の弟分です。
氷室の頃を尊敬しており、右翼のトップである堀井とつなげました。
●植木 尚人
【極山会】植木組 組長
極山会という神農系極道に所属する男で、宮本とともに氷室が刑務所に服役している頃に弟分となりました。神農系は的屋系ともいわれ、博徒系とよばれる侠和会のような組織とは全く稼ぎ方も流派もちがう組織です。
まとめ
ポイント
- 氷室と田村が仲直りして、おなじ山崎組の一員になる
- 関東では丸神連合という大きな組織ができそう
- 次作は岐阜での抗争になり、新たな火種や敵対組織が顔を見せる
本作では一瞬しか触れられていませんが、関東では秋元・若宮の所属する丸打組と敵対組織だった水神会が合併し、丸神連合という組織が発足しそうだという話があります。
この丸神連合は今後ずっと登場する大きなライバル組織なので名前は覚えておいた方が良いでしょう。多くのエピソードでは侠和会の戦いをメインにしつつ、「一方関東では・・・」という丸神連合の動向が入るようになってきます。
次作では氷室と田村が再びタッグを組んで、岐阜を攻め始め、広島極道という新たな難敵まで登場します。