日本統一2は前作日本統一1から8年後が舞台です。氷室は三上組のNo2となっており、田村が出所する頃になっています。
本作では侠和会の会長が変わって組織の改変が行われ、三上の親である上田が出世路線から外れ、侠和会内でクーデターを起こすまでの流れが描かれています。
一方、前作で氷室や田村を殺そうとした三上が、実は仲間内には優しい立派な親分であることが解っていきます。人徳を考えれば川谷を上回る人物かもしれません。
日本統一1はシリーズ全体を考えればプロローグであり、本作が本当の第一話ともいえる重要なエピソードなので、ここでは重要なポイントにしぼり、あらすじを解説していきたいとおもいます。
「日本統一2」あらすじ
前作から8年後、侠和会の今
舞台は前作から8年後、初代会長の権田が退き、2代目会長として工藤が就任します。
日本統一1で語られたように、「死ぬか、極道になるか」の2択を迫られた氷室は極道になることを選び、せっせと頑張り昇進を続けています。
現在では、三上組の若頭(No2)の席におり、侠和会全体をみても注目の若手として扱われているようです。
三上組の頭(No1)は三上ですが、三上組は侠和会直参の上田組傘下の組織となるので、三上や氷室は侠和会内の派閥でいうと上田派という事になります。
川谷は侠和会直参の山崎組の若頭なので、山崎派という事になります。
上田派と山崎派は同じ組織内なので敵ではありませんが、上田と山崎はゆくゆくは次代(3代目)の会長職も狙える立場なので出世争いをしています。
ただ上田は昔気質な人物で時代の波に乗れておらず、出世コースから外れています。
そんなおり総本部長の尾本は、三上に直参組織にならないかと声をかけます。
これが現実となれば、三上はもちろん、氷室も直参組織の若頭という立場になり大出世なのですが、三上は上田に恩を感じており、そんなつもりがないと言います。
重要なのは、出世コースは新会長である工藤と仲の良い山崎派の人間であるということ。
上田は工藤や山崎と仲が悪く、このままだと三上組の立場も危うくなり、上田がクーデターを起こそうものなら三上組は抹殺対象になってしまいます。
2代目体制の派閥問題
工藤会長の元、2代目体制が始まります。若頭(No2)は山崎、本部長(No3)は尾本となります。
一方、上田は最高顧問という役職を与えられるも、執行部から外されてしまいます。さらに上田派の八神も執行部から外され、上田には不満がたまる一方です。
工藤会長は、新しい世代に乗り換えようとしており、若いものを直参組織に入れると宣言します。
上田派=侠和会では古い体質。出世できない。 |
山崎派=新しい体制に乗り換えようとしている。出世コース |
山崎は表向きは上田の顔を立てようともしていますが、正直疎ましく思っているようで、飼い殺しにしようとしています。
上田も自分自身が新しい流れについていけていない事はわかっており、心のなかでは「初代権田と一緒に引退していればよかった」という気持ちもあるとこっそり漏らします。
しかし自分のプライドが許さず、一生極道でいたいため、踏ん張って山崎派に対抗しているのだそうです。
ただ三上の事は可愛く思っており、自分の泥舟に三上を乗せたくないという気持ちが強い様子です。
そのため三上を呼び出し、「上田組は自分のわがままで動く泥舟。お前は直参の誘いをうけて、自分の道をすすめ」と説得しますが三上は「自分の親分は上田だけ!」といって首を縦に振りません。
このことに上田は頭を悩ませます。
田村の出所
前作で龍征会の責任を取って刑務所入りした田村が、いよいよ出所します。
龍征会の面々は、氷室が三上組若頭で龍征会会長、斎藤が龍征会理事長、町田が龍征会補佐、健太(氷室の甥)は龍征会幹部となっています。
氷室が三上組若頭となるほどに頑張っていたのは、田村の居所を作っていたとも言えます。
田村が三上組に戻ると、三上は手厚い歓迎でもてなします。
田村は前作の事件後、極道のイロハや侠和会の内情も知らず即侠和会入りしたので三上のことを「自分の命を狙ってきた男」という認識しかなく驚きます。
実は三上は身内にはとても優しく寛大、三上組は侠和会内でも指折りの温かい組でした。田村は最初は戸惑いますが、自分の新しい居場所にすこしずつ慣れていきます。
この頃、関東では秋元が所属する丸打組系と水神会が関東の覇権を争い抗争になってるという噂が入ります。秋元は今後も登場する重要な人物です。
ちなみに田村は、氷室の舎弟ではあるものの三上の盃を受けていないので現段階では「極道」ではありません。この事が後々問題になります。
ボッタクリ事件
ある日、田村と健太が飲んで遊んでいると、上田組系列のボッタクリ屋にカモられてしまい、挙句の果てに「オヤジ(上田)を捨てて直参になるような奴は嫌いだ!」とボコボコに殴られます。
田村は氷室の立場を考え、「絶対やりかえすんじゃないぞ!」と健太を抑え、ただただ殴られ続けます。
この事件に怒りを感じた三上と氷室は上田組事務所で直訴しますが、ボッタクリ側は「むしろシマで好き放題した事を謝れ!詫びとして500万円はらえ!」と無茶なことを言います。
さらに上田も味方してくれず、結局500万円払うことになり、三上と氷室は悔しい思いをしながら退席します。
実はこの騒動は上田が描いた計画であり、三上に直参入りを決意させるために行った親心でした。「こんな頑固で古い親父にはついていけない!」と思わせたかったようです。
そんな上田の親心を知らず、氷室や三上、川谷は彼に愛想を尽かしていきます。そして三上は上田の思惑通り、直参入りを決意し、山崎や尾本とコンタクトをとりはじめます。
三上が直参入りする時、工藤組系列の渡部も直参入りします。渡部は今後も登場する重要な幹部の一人です。
田村の逆襲
三上組が直参昇格祝の席に、山崎と尾本が同席します。三上は侠和会のために誠心誠意頑張ると決意します。
この時、氷室が田村を連れて挨拶に行くと、山崎は自分の子分にしたいくらい田村を気に入っていると言います。
ボッタクリ事件についても触れ、「当時は三上組の事を考えてよく耐えた。お前の身分は俺(侠和会若頭)が補償するから、上田組のチンピラにやりかえしてもいいぞ!」と言われます。
山崎は情が深く、人当たりがいい上に新しい時代にも乗れている人物のようですが、上田のことは頑固な老害くらいにしか思っていないようです。
田村は山崎の言葉をそのまま受け止め、すぐさまボッタクリ屋を壊滅させてしまいます。
田村はボッタクリ屋に「文句があるなら言ってみろ!俺には山崎の若頭がついているんだからな!」と言い放ったため、山崎と上田の争いは表面化していきます。
上田が侠和会を抜ける
上田は執行部に「上田組のシマを三上組に少しゆずれ」と言われます。
三上はすでに上田組傘下ではなく、山崎組と仲のいい直参組織なので、上田にとっては損しかありません。
この命令に納得できない上田でしたが、上田に限らず上田派の人間はドンドンと利益を奪われていきます。山崎が上田を潰そうとしているのは明白です。
業を煮やした上田は、上田派(新しい侠和会に乗れない者たち)を連れて、侠和会を脱退、京都の島田組の新しい会長を旗にあげて、信闘会という新団体を立ち上げます。
龍征会と上田組は銃撃を伴った抗争に発展し死者がでます。
田村は山崎にかわれて、山崎のボディーガードとなりますが、上田組に襲撃され山崎、川谷が怪我をします。
山崎よりは川谷の方が軽症といえるが、どちらも命に関わる重体で起き上がれません。
山崎は侠和会の若頭(No2)であるため事態は重大となり、侠和会は総力をあげて信闘会と闘うことを決意します。
田村の決意
田村は山崎や川谷を守りきれなかったことを悔います。山崎組の若い者も、「なぜ守れなかったんだ!」と田村に怒りを感じています。
しかし本部長の尾本は、田村が守りきれたかどうかよりも、「田村が侠和会(三上)の正式な盃も受けていないカタギの人間であること」が問題だと言います。
侠和会ともあろうものが、若頭のボディーガードを一般人に任せて重症を負ったなど、世間の笑いものになるので、真実は伏せることになります。
三上は田村をかばい、既に自分の子供だとおもっているし、いつでも盃を下ろすと言いますが、田村は「その前に責任をとって上田を殺してきます」「上田を獲ったら盃もらえますか?」と三上に頼みます。三上としてはすぐに盃を下ろしてもよいのだが、田村の決意に了承します。
三上は侠和会に反旗を翻し、死人までだしてしまった上田と決別する覚悟を決め、上田組と三上組の縁や確執を考え、「自分の組が信闘会を倒す一番槍となる!」と宣言します。
「日本統一2」登場人物
氷室 蓮司
【侠和会】侠和会 三上組 若頭
日本統一シリーズの主人公。親友の田村と共に極道入りし、川谷の下で日本統一を目指します。
頭が切れる策士タイプで、仲間内には優しく争いを好まない。ただし敵や気に食わない事にはキレやすく暴力的になる一面もあります。
日本統一1から8年後、現在は三上組の若頭となっており侠和会内でも指折りの出世頭です。
田村 悠人
【一般人】氷室の舎弟
日本統一シリーズのもうひとりの主人公。氷室を慕い、共に日本統一を目指しています。
日本統一1から8年後、出所したばかりの田村は三上組に世話になっているものの、三上の盃は受けておらず、名目上は氷室の舎弟で一般人です。
川谷 雄一
【侠和会】山崎組 若頭
氷室と田村の命を救い、極道入りさせた張本人。自身の力だけでなく人を見る目もあり、人情味もある根っからの親分肌。
山崎を最高の親分と慕い、日々切磋琢磨しています。
三上 哲也
【侠和会】三上組 組長
氷室と田村が付いた親分。部下の面倒見が非常によく、三上組の極道達は非常に慕っています。
あまり出世欲はなく、可愛い子供(子分)や兄弟分が幸せであれば良いと考えています。
尾本 明良
【侠和会】本部長
侠和会に古くから席をおく重鎮で、厳しくも優しい懐の深い人物です。
川谷や三上も叔父貴分として大事にしており、「めいぶつおじさん」のような愛嬌のある人物として描かれています。
権田 誠蔵
【侠和会】初代会長→引退
侠和会の初代会長で圧倒的なカリスマ性を持っていた人物です。
工藤と比べてもカリスマ性の上では彼のほうが上でしたが、高齢のために隠居してしまいました。
侠和会に「極道会の日本統一」という目標を与えた人物でもあります。
工藤 雅信
【侠和会】二代目会長
初代の後をつぎ、日本統一2から侠和会の会長として組を引っ張ってきた人物。
自分の地位名声には固執しておらず、すべては初代の夢である極道界の日本統一のために動いています。
どちらかといえば理性的で頭脳派なタイプで、むやみに抗争を起こすことは望んでいません。
●渡部 圭太
【侠和会】幹部
工藤組系列の極道で、工藤にとっての腹心。
上司である工藤や川谷と部下である財前などの間に挟まれた中間管理職のような立場となっており、苦労を重ねています。
●中島 勇気
【侠和会】中島組組長
氷室や田村の指示に従う、いわゆる氷室一派の一員。普段は軽快で冗談も言うような気さくな性格ですが、氷室の敵や組の敵に対してはかなり無愛想な人物。
頭の回転はそこまでよくないようですが、空気は読めるタイプ。
●馬場 伊左雄
【侠和会】若頭補佐
馬場は侠和会のNo3の位置にいる重鎮。野心家で単純そうに見えますが、実は懐の深いところもあり、1世代前の極道を地でいく男といった印象です。
会長やNo2である川谷の心づもりを理解して行動しています。
●町田 駿
【侠和会】龍征会
町田は氷室や田村が愚連隊の頃から付き合いのある古株です。
冷静沈着で突発的なことはせず、氷室や田村の指示通りに動く忠実な部下とも言えます。
●斉藤 浩樹
【侠和会】龍征会理事長
氷室や田村と愚連隊の頃からの仲である、彼らの懐刀です。
体は大きいですが力任せで動くことはなく、頭を使って氷室を支えています。
●菅谷 謙太
【侠和会】龍征会 幹部
氷室の姉の子で、氷室にとっては甥。あまり考えずに突っ走るタイプです。
周りに迷惑をかけることが多々あり、問題児ともいえます。
氷室に心酔しており、氷室のためなら何でも出来ると考えているあたりは、田村と通じるところがあります。
●川上
【侠和会】龍征会
町田は氷室や田村の子分のような存在で、学生時代から付き合いのある男です。
面倒見がよく、辛抱強さもあるので、ここぞというときは二人に頼られています。
山崎 義政
【侠和会】若頭
侠和会の若頭(No2)で、侠和会で最も大きな勢力の一つを束ねる重要人物です。
川谷の親分であり、身内には人情味あふれる人物ですが、昔気質な上田とは反りが合わないようです
上田 秀次
【侠和会】上田組 組長→信闘会
侠和会直参の上田組組長ですが、初代が引退した後冷遇されており、出世コースからは外れています。
一生極道でいたいというプライドが高く、侠和会を抜けて信闘会という新団体を作ります。
八神【NEW】
【侠和会】上田組系列→信闘会
上田組系列の極道ですが、上田と同じく時代の流れに乗れなかった人物です。上田に付いて、侠和会から抜け出し信闘会に入ります。
三上と違って、上田に「ついてこい!」と言われているところをみると、ある意味上田が可愛がっているわけではない様子。
後のエピソードに登場する「花田」と同じ俳優ですが、全くの別人なので注意。
八神が登場するのは日本統一3までです。
上田の子分(名無し)【NEW】
【侠和会】上田組
出所したばかりの田村を痛めつけ、三上が上田組から独立するきっかけを作った人物です。
実は、上田の命令どおりに悪役を演じていただけなので、悪い人物ではないのかもしれません。
モリヤス【NEW】
【侠和会】上田組
上田組に属する幹部の一人で、上田の言うことを忠実にこなしています。
後に登場する「木島」という人物と俳優は一緒ですが、全く別人なので注意。
モリヤスは本作での登場が最初で最後です。
島田 富士夫【NEW】
【島田組】信闘会会長
京都の極道組織、島田組の2代目です。上田の誘いにのって信闘会を立ち上げ、会長職に就任します。
親の七光りらしく、あまり傑物ではない様子です。
後のエピソードに登場する「大沢」と同じ俳優ですが、全くの別人なので注意。
秋元 照政
【丸内組】三田組幹部
関東極道の一人で、意識が高く極道のプライドをまもって生きる人物です。
しばらく噂に聞く程度の人物ですが、日本統一シリーズのなかでは重要な人物の一人です。
川端 忠雄
【至誠会】会長
九州の極道を束ねる至誠会の会長です。極道会では非常に大きな発言力をもっており、侠和会にとっても親戚のように仲の深い人物です。
世間に迷惑をかける抗争をよしとせず、抗争の仲裁を買って出ることが多いです。
氷室 リョウコ
【一般人】氷室の妻
日本統一1では氷室の彼女だった人物。現在では妻で、彼が極道であることも承知で結婚しています。
まとめ
ポイント
- 上田派が信闘会を発足したことで、日本統一3では大きな抗争へと発展する
- 氷室は直参組織の若頭なので、格としては川谷と一緒になる
- 田村はついに極道入りを決意するが、それは上田を倒してからと覚悟する
本作のポイントは、侠和会内では老害ともいえる上田が、古い考えの連中を連れて離反することにあります。
三上に「一生極道でありたいが、上田組は泥舟。お前は自分の道を行け」と言っているあたり、本当に侠和会に勝てるとは思っていないが、意地だけで張り合ってるだけなのかもしれません。
いずれにしても、山崎、川谷に重症を追わせ、死人までだしていることから、侠和会VS信闘会(上田派と京都の島田組)は避けられません。