前作(日本統一16)のラストで、工藤暗殺を狙っていた坂下は、氷室達の手により倒されました。坂下を裏で操っていた福本は、自分の仕業飛ばれないように奔走していきます。
一方、福島での財前VS豊中の争いも、川谷が財前を謹慎にすることで決着がつきます。これにより財前の反抗心はさらに高まる一方で、今後の火種となります。また名古屋統一を巡る争いでは、福本の腹心・原木が暗殺部隊を送り、意外な方向に舵が進んいきます。
今作の氷室は、前作のダーティーな氷室とは違い、男気と器の大きさをみせる回となっており、魅力たっぷり。氷室ファンは必見です!
ただ財前絡みの内輪もめや名古屋極道との事情は、わかりにくいところもあるので、ここでは重要なポイントのみに重点をあてて、詳しく説明していきます。
「日本統一17」あらすじ・みどころ
坂下の死
前作(日本統一16)のラストで、坂下は自殺に見せかけて殺されてしまいます。
坂下の死をきいた名古屋極道達(熱田・北村・土岐)は、「坂下が本当に自殺したのか?」と疑問の声があがるなか、坂下を匿っていた土岐は「絶対に侠和会のせいだ!」と息巻きます。
土岐は、すぐにでも仇討ちするべきだと考えますが、熱田に「西日本睦会の援軍がきてからにしよう」「自分たちの戦力だけで仇討ちは無理」と説得され、矛を一旦おろします。
しかし西日本睦会を統べる福本は、「少し待て」というばかりで、援軍を送る気が一切ありません。
福本は、自分が援軍を送れば、坂下のバックに自分がいたことがバレると思っており、名古屋極道を助けるつもりがありません。
財前の怒り
ある日、氷室の側近の一人である中島が、兄弟分である梨本にたまたま出会い、お酒を飲んで思い出話に花を咲かせます。
梨本は、丸神連合に所属する幹部クラスの人間で、本来であれば敵ですが、若い頃、刑務所時代に意気投合し義兄弟となったようです。
その会合を財前の子分が見てしまい、財前に報告。財前は「山崎組と丸神連合は裏で繋がっており、福島で手打ちにさせられたのは策略のひとつ。やつらは工藤組系列を潰す気だ!」と妄想するようになります。
結果として、財前組は中島組を襲い喧嘩に発展してしまいます。
事情を知った川谷は、こんな大変な時期に身内同士で争うとは何事かと大激怒。財前の親分である渡部に、財前謹慎の指示を出します。渡部は承知するも財前の気持ちもわかるところがあり、内心不満に感じます。
一方、川谷と氷室は工藤組の勢いが失速した今が好機と考え、田村を直参の組長に昇進させます。
侠和会VS西日本睦会
侠和会は遂に坂下の後ろに西日本睦会の福本がいたことが判明し、川谷自ら福本に電話をかけて宣戦布告します。
侠和会と西日本睦会は双方大きな組織なので、抗争ともなれば大事になり、警察が介入することは確実。
氷室は「数では勝る侠和会も力押しができないのでは持久戦になる」と予想し、西日本睦会の面々を少しずつ寝返えさせる作戦を立てます。
実際のところ、西日本睦会は一枚岩となっておらず、強行すぎる福本に不満を感じる者も居るようです。
名古屋極道の侠和会入り
名古屋極道(熱田・北村・土岐)は、西日本睦会からの援軍が来ず、ジリ貧となっていきます。
柳ヶ瀬連合の北村は、このままでは侠和会に潰されると考え、自分だけ侠和会に寝返ることを決めます。
氷室は北村の態度に「自分の保身でコロコロと立場を変えるやつは信用できない!」と激怒しますが、熱田組の侠和会入りを手伝えば、仲間に入れてやると告げます。
早速北村は、氷室と熱田組の香取組長を引き合わせます。香取は氷室の男気に惚れ込んでしまい、氷室が兄弟分になろうというのに、「自分は子分で良い!」と頭を下げます。
すると侠和会系列で熱田組と争っていた重光一家の大井も、「自分を熱田と同じ子分にしてくれ!」と言い始め、氷室は驚きます。
大井曰く、熱田組と重光一家が同等の立場で侠和会に身をおくことで和解し、力を合わせて名古屋を統一するとの事。この考えに熱田も賛同します。
しかし岐阜の土岐だけは、兄弟分の坂下を殺された手前、納得がいきません。熱田が「一緒に侠和会に入ろう!」と声をかけてきても、田村が直接脅しに来ても、全く気持ちを揺るがしません。
一方、同時期には馬場が京都と北陸を攻略し、西日本睦会はどんどん力を失っていきます。
西日本睦会が名古屋極道を襲う
西日本睦会のもとに、名古屋極道が侠和会入りしたという情報が入ります。この事に激怒した福本は、香取、土岐、北村にヒットマンを飛ばし、結果として、北村は銃殺され、香取と土岐は重症を負ってしまいます。
土岐は、坂下の兄弟分であるはずの福本に裏切られた事に嫌気が指すと同時に、氷室の心意気に触れ、坂下の敵討ちは諦めると告げます。
「日本統一17」の登場人物
侠和会
氷室 蓮司
【侠和会】山崎組 組長
日本統一シリーズの主人公。親友の田村と共に極道入りし、川谷の下で日本統一を目指します。
頭が切れる策士タイプで、仲間内には優しく争いを好まない。ただし敵や気に食わない事にはキレやすく暴力的になる一面もあります。
田村 悠人
【侠和会】山崎組 若頭
日本統一シリーズのもうひとりの主人公。氷室を慕い、共に日本統一を目指しています。川谷の事も尊敬していますが、どちらかといえば全ては氷室のため。
喧嘩っ早く単純な思考回路にみえるが察しが良いし、仲間思いで忠義にも厚い人物。氷室とは逆に芯は落ち着いており、氷室がうろたえたり、キレた時は全力で支えます。
氷室や田村から直参の組長になるように推薦されていましたが、本作にいたるまでずっと嫌がっていました。
理由は、自分の親分は氷室であり、氷室の組内に居たいとのことでしたが、本作で氷室のためならばという思いで了承します。
川谷 雄一
【侠和会】若頭 山崎組総長
氷室と田村の命を救い、極道入りさせた張本人。自身の力だけでなく人を見る目もあり、人情味もある根っからの親分肌。
療養中の工藤会長に変わり、侠和会を現在動かしている人物です。
菅谷 謙太
【侠和会】龍征会 会長
氷室の姉の子で、氷室にとっては甥。あまり考えずに突っ走るタイプで、周りに迷惑をかけることもありました。
氷室に心酔しており、氷室のためなら何でも出来ると考えているあたりは、田村と通じるところがあります。
●ニシザワ
【侠和会】龍征会
ニシザワは画像(左)の人物。
健太の下についている人物で、健太を兄貴分賭と慕い、よく一緒に行動しています。
●龍征会幹部
【侠和会】龍征会
ニシザワと同じく、健太の下についている人物で、健太とよく一緒に行動しています。
あまり良くしゃべるタイプではないですが、忠義には厚い様子です。
●小堺 透馬
【侠和会】山崎組 幹部
山崎組の幹部であり、氷室よりは格下の川谷の子分。療養中の工藤会長の世話をするなど、かなり信用されている人物らしく、重用されています。
●工藤 雅信
【侠和会】二代目会長
初代の後をつぎ、日本統一2から侠和会の会長として組を引っ張ってきた人物。
自分の地位名声には固執しておらず、すべては初代の夢である極道界の日本統一のために動いています。
福本の配下のヒットマンに襲われ重症を負い、療養中です。
●渡部 圭太
【侠和会】本部長
工藤組系列の極道で、工藤にとっての腹心。山崎組の台頭で部下の不満がたまる一方で頭を痛めています。
本人も川谷や氷室の台頭には快く思っておらず、少しずつ不満を感じている様子です。
彼の不満は後々に大きな問題となって爆発します。
●中島 勇気
【侠和会】中島組組長
氷室や田村の指示に従う、いわゆる氷室一派の一員。普段は軽快で冗談も言うような気さくな性格ですが、氷室の敵や組の敵に対してはかなり無愛想な人物。
頭の回転はそこまでよくないようですが、空気は読めるタイプ。
本作では兄弟分の梨本(丸神連合所属)と久しぶりに出会い飲みに行くことに。そのことで財前の怒りを買い、襲われてしまいます。
●大成 虎雄
【侠和会】川谷組幹部
田村にべったりくっついている武闘派の男で通称「トラ」。かなりの武闘派で頭の方は空っぽな印象。
仲間内での人情話には弱く、女の子にも弱い性格。
●坂口 丈治
【侠和会】山崎組 構成員
川谷の実子で、現在は氷室の下で修行中の身。当初はただの暴れん坊でしたが、極道入りして男を磨き、今では聞き分けも良い若手有力株。
父譲りの度胸の良さを持ち、物怖じすることは殆どない様子。
現在は氷室直属の子分となっており、出世街道に乗っています。
●財前 直也
【侠和会】工藤組幹部
工藤組系列で渡部の部下にあたる人物。思慮が浅く、出世欲も強いために、氷室を敵視しています。
工藤会長が己の保身よりも「侠和会による日本統一」を夢に掲げている事を考えると、不忠の輩とも言えるでしょう。
本作で、山崎組が丸神連合と繋がっていると勘違いし、中島を襲ってしまいます。
そのことで謹慎処分となり、さらに怒りを積もらせます。
●馬場 伊左雄
【侠和会】若頭補佐
馬場は侠和会のNo3の位置にいる重鎮。野心家で単純そうに見えますが、実は懐の深いところもあり、1世代前の極道を地でいく男といった印象です。
会長やNo2である川谷の心づもりを理解して行動しています。
●木島 一茂
【侠和会】幹部
当初は氷室や田村にとっては兄貴分の位置にいましたが、すっかり追い抜かれてしまい焦りを感じている人物。
山崎派か工藤組派かでいえば、工藤組派に属しており、工藤組が川谷や氷室を恨んでいることを知っています。
根は実直であるものの、周りに流されやすく、いざという時の判断力に多少難があります。
福井ヤクザ
坂下 惟秀
【西日本睦会】坂下組 組長
故人。福本の兄弟分でかなりの武闘派。前作のラストで田村の暗殺部隊に自殺に見せかけて殺されてしまいます。
彼の死により、兄弟分であった土岐が侠和会に対し敵意を剥き出しにします。
土岐 匡平
【岐阜】土岐組 組長
岐阜に居をかまえる土岐組の組長で坂下と同じく好戦的なタイプで話があう様子。
坂下が殺されたことで、侠和会に復讐を誓っていましたが、坂下の兄弟分であるはずの福本に襲われ重症を負います。
更に氷室の男気にも触れ、坂下の復讐を諦めます。
丸神連合
瀧島 彪雄
【丸神連合】会長
元水神会の会長で、丸神連合の会長。丸神連合にとっては神の如き存在で、彼の存在で敵であるはずの丸打組と水神会が合併しているとも言えます。
鶴見にとって最も尊敬する人物であり、彼の暴走も瀧島が抑えました。引退後も会への影響力は大きく、しばらく陰ながらサポートしています。
三田 太源
【丸神連合】ニ代目会長
瀧島の後をつぎ、丸神連合の二代目会長となった人物。元々は丸内組系の極道であり、鶴見は当初嫌っていました。
初代の瀧島曰く「良い男」であり、思慮深い一方、決断力もある様子。時には冷徹とも思える判断も迷わず実行できる人物です。
沖田 学
【丸神連合】幹事長
丸神連合の発足には異を唱えていましたが、秋本の説得により考えを改めた人物。元水神会系でしたが、三田が二代目となることにも不満を感じていない様子。
上への忠義には厚い一方で、それ以外の者には高圧的な態度をとりやすい印象。会のためなら身を粉にして働くタイプです。
梨本
【丸神連合】幹部
丸神連合に所属する幹部クラスの極道。侠和会の中島とは兄弟分の中であり、今作で久しぶりに再開し、酒を飲み交わします。
腹芸を得意とせず、兄貴分には忠実な人物で今後も時折登場します。
鶴見 憲吾【NEW】
【丸神連合】若頭補佐
元水神会系列の極道で、丸内系の三田がニ代目となることには納得していませんでしたが、瀧島の説得により考えを改めます。
喧嘩っ早いが思考も鋭く、田村と氷室を足して2で割ったような人物で、かなりの武闘派です。
●秋本 照政
【丸神連合】秋元組組長
日本統一1から登場する関東の極道で、現在は秋元組の組長。刑務所時代に氷室と意気投合し、兄弟分の間柄となります。
丸打組と水神会の合併に最も貢献した人物の一人で、彼なしでは合併はなかったと言ってもいいほど。
傑物ですが、逮捕されることが多く、あまり表社会に顔を出していません。
●若宮 猛
【丸神連合】丸神連合局長
日本統一1から登場している関東の極道。当時は性格の悪いイヤな人間でしたが、心変わりして今では度胸も人情もある立派な男。
秋本不在の間、三田組を支えていた人物で氷室とも兄弟分の間柄です。
●豊中
【丸神連合】豊中組組長
水神会系列の極道で豊中組の組長、衝動的な人物で、自分の欲のためには、兄貴分の命令も聞かなくなる問題児。
福島の覇権争いで、工藤組の財前と揉めており、一触触発の状態です。
名古屋の面々
奈村 志郎
【丸神連合】苗村組組長
水神会系列で奈村組の組長。己の損得しか頭になく、自分の得になるのであれば、仲間は誰でも良いような人物。
苗村は丸神連合でも次第に問題をおこす人物となっていき、後々のエピソードで大きな事件を引き起こします。
●北村 朝雄
【名古屋】柳ヶ瀬連合の会長
柳ヶ瀬連合の会長。西日本睦会に席を置いているものの、侠和会と揉めることは大反対しています。
長いものには巻かれるタイプで、できれば争いを避けて通りたい様子。
本作では西日本睦会に見切りをつけて、侠和会に寝返ることを決めます。
しかしそのことで福本の逆鱗に触れ、ヒットマンに撃たれて結局は死んでしまいます。
●香取 和雄
【名古屋】熱田組 組長
名古屋の熱田組の組長で重光一家をライバル視している人物。先に侠和会入りした大井のことを怒っており、潰そうと考えていました。
ただ好戦的なタイプではなく、勝てない争いはしないタイプ。
北村に誘われ氷室と会ったことで考えが変わり、氷室を兄貴分と慕い、子分の身とて侠和会入りします。
●大井 忠雄
【侠和会】 重光一家総長
重光一家総長で名古屋に居を構える極道の一人。侠和会においては、名古屋進出のだいじな足がかりとなっています。
熱田組の香取とはライバル関係にあり、互いに意識しあっていましたが、香取が氷室の子分となる決心に心を打たれ、自分も子分にしてくれと氷室に頼み込きます。
西日本睦会
福本 貞夫
【西日本睦会】会長
広島の極道で、氷室には何度も苦渋を舐めさせられており、恨んでいます。どちらかというと思考を重ねて暗躍するタイプで、一言で言うと卑怯な男。
自分の地位や名声のためなら、なんでもする性格で、氷室や工藤を暗殺しようとしますが、いずれも失敗におわっています。
●原木 秀一
【西日本睦会】幹事長
福本の腰巾着であり腹心。彼の指示のもと様々な暗殺計画が実行されましたが、いずれも失敗に終わっています。
器としても福本を一回り小さくしたような人物で傑物とは言えません。
●中川 至道
【西日本睦会】中川組組長
西日本睦会に所属していますが、福本の行動には納得していない人物。暗殺計画なども知りませんでした。
福本の配下に半ば脅される形で、福本を会長の座に上げることに賛成してしまいます。
前作と今作以降では演じている俳優が違うので注意。
●野城 邦夫
【西日本睦会】野城組組長
西日本睦会に所属する極道の一人。本作ではあまり語られていませんが、福本の行動にはあまり納得がいっていないようで、不満をかかえています。
まとめ
ポイント
- 中部地方はほぼ侠和会のものになる
- 名古屋の熱田と重光一家は氷室の子分になる
- 福本は策略は新たな展開へ
中部地方は、丸神連合系列の苗村を除き、殆ど侠和会のものになります。
しかも名古屋は流血がほとんど無く、氷室の男気だけで治めた事となり、田村は、一層氷室を尊敬し、自分たちが力をつけるほど抗争がなくなるのだと納得します。
しかし中部を失った福本は、次作から新たな作戦で侠和会に襲いかかり、またも氷室の頭を悩ませます。
一方、丸神連合内でも大きなトラブルが起こり、仲間割れが始まります!