前作(日本統一15)のラストで氷室はヒットマンに襲われており、その顛末から本作(日本統一16)は始まります。
また福本側のヒットマンにより侠和会は大混乱に陥っていましたが、今作では逆に氷室達の暗殺部隊が大活躍。一方で名古屋ヤクザが名古屋統一にむけて動き出しており、事態は急展開となります。
また、秋元が出所したことにより、氷室や秋元の夢が語られ、今後の流れを占うような重要なエピソード。
西日本睦会との争いは登場人物が多く理解しにくいところも多いかもしれません。そこで今回も、本編の重要なあらすじにポイントを絞って、わかりづらいところを中心に解説していきます。
「日本統一16」あらすじ・みどころ
氷室襲撃事件の結末
前作のラストでは、氷室が坂下の放つヒットマンに襲われるところで幕を下ろしました。本作はまさにその続きから始まります。
大ピンチとなった氷室ですが、偶然近くに来ていた田村が援護に間に合い、傷を負わずに返り討ちが出来ます。
氷室がヒットマンのうちの一人を生け捕りにして拷問し、主犯格を探るとまたしても、坂下が背後にいることを知ります。
田村にとっては最も大事な友であり兄貴分の氷室を襲ってきたことに怒り心頭となり、復讐に燃えます。
福島抗争の手打ち
前作(日本統一15)から一触触発状態の財前(侠和会・工藤組系列)と豊中(丸神連合・水神会系列)でしたが、手打ちの席を設けられます。
この席には、侠和会側からは氷室の部下である中島が、丸神会側からは若宮が同伴します。
財前も豊中も手打ちに納得がいっていませんが、財前は自分の親分である渡部のために、豊中も自分の親分である沖田の面子を守るべく、しぶしぶ矛を収めることを誓います。
しかし財前にとっては、氷室や田村、川谷などの山崎組系列の力が増す一方で、工藤組系列の自分は利益が減る一方となっており、不満が更に積って渡部に愚痴をこぼします。
渡部は、怒る財前をなだめつつも、心の内ではあまり良く思っていない様子。この山崎組VS工藤組の構図は、後々の大きな火種への伏線となります。
工藤の想いと氷室の暗躍
工藤会長が意識不明の重体から回復します。侠和会の幹部達は一安心するも、工藤は復讐の抗争を辞めるように命令します。幹部は皆納得しませんが、会長の命令である以上従うしかありません。
工藤が復讐禁止の命令を出した理由は「坂下を探す過程で、世間に迷惑をかけすぎている。これ以上大きな抗争を引き起こして、一般の人々に迷惑をかけるわけにはいかない」との事。
工藤の人柄や器がわかる素敵なエピソードですが、このままの状態ではいけないと感じた氷室は、工藤には秘密で氷室と田村だけが知る暗殺部隊を使い、坂下を秘密裏に始末することを決めます。
福本が西日本睦会の会長に就任
西日本睦会の次期会長は幹部たちの選挙で決まるのですが、前作(日本統一15)の段階では、福本の下馬評は低い状態でした。
そこで福本は、保守派の面々を口説いていき、寝返るように仕向けていきます。
一方で坂下には、次期会長選の手前なので身を潜めるように命令します。坂下はしぶしぶ岐阜の柳ヶ瀬連合の元で身を隠すこととなります。
福本は結果として、会長選で大勝利し、西日本睦会の2代目会長に就任。大きな力を得ます。
そのころ、坂下は何も出来ない状況が退屈になり、柳ヶ瀬連合の元を抜け出し、土岐組の元に移ります。土岐は坂下と同じくらい好戦的な性格をしており、話が合うようです。
名古屋極道の方針
名古屋は西日本睦会と侠和会、丸神連合に挟まれた立地となっており、このままではイズレかの組織に潰されることは明白。
そこで、名古屋の大御所極道である熱田組の香取、柳ヶ瀬連合の北村、土岐組の土岐が今後の方針について、話し合います。
香取は名古屋に進出してきている丸神連合系の苗村と侠和会系の重光一家を潰して名古屋を治め、その手柄を土産に西日本睦会に加わろうと考えていると話します。
香取にとって重光一家はライバルだし、何も持たずに西日本睦会に入れば、会内での立場が低くなると考えているようです。
この名古屋統一計画に北村と土岐も乗り、準備を始める事を決めます。
秋元の出所
氷室の兄弟分であり命の恩人でもある秋元が出所します。
秋元はいまだ遺恨が見え隠れする丸神連合を完全に合併させるべく、闘志を燃やしているようです。
それと同時に、兄弟分である氷室と今は争うつもりはなく、側近の若宮には名古屋の苗村や福島の豊中が侠和会に牙をむかないように抑えろと指示をします。
また秋元は氷室と直接話し合いをし、今はお互いの組でトップを目指して努力し、お互いが頂上に上り詰めて、対決せざるを得なくなったら、本気で戦おうと約束します。
坂下の末路
氷室と田村が抱える暗殺部隊が、秘密裏の操作の末に坂下の潜伏場所を発見します。
氷室は、坂下のバックに誰がいるのか突き止めようとしますが、坂下は「身内は売らん」と舌を噛み自殺しようとします。
氷室は坂下の覚悟に男気を感じると同時に、この男は拷問しても無駄だと悟り、無駄に痛めつけることはせず、すぐに銃殺してあの世に送ります。
「日本統一16」の登場人物
侠和会
氷室 蓮司
【侠和会】山崎組 組長
日本統一シリーズの主人公。親友の田村と共に極道入りし、川谷の下で日本統一を目指します。
頭が切れる策士タイプで、仲間内には優しく争いを好まない。ただし敵や気に食わない事にはキレやすく暴力的になる一面もあります。
前作のラストで坂下組のヒットマンに狙われ大ピンチになりますが、田村に救われ無傷で済みます。
田村 悠人
【侠和会】山崎組 若頭
日本統一シリーズのもうひとりの主人公。氷室を慕い、共に日本統一を目指しています。川谷の事も尊敬していますが、どちらかといえば全ては氷室のため。
喧嘩っ早く単純な思考回路にみえるが察しが良いし、仲間思いで忠義にも厚い人物。氷室とは逆に芯は落ち着いており、氷室がうろたえたり、キレた時は全力で支えます。
川谷 雄一
【侠和会】若頭 山崎組総長
氷室と田村の命を救い、極道入りさせた張本人。自身の力だけでなく人を見る目もあり、人情味もある根っからの親分肌。
療養中の工藤会長に変わり、侠和会を現在動かしている人物です。
菅谷 謙太
【侠和会】龍征会 会長
氷室の姉の子で、氷室にとっては甥。あまり考えずに突っ走るタイプで、周りに迷惑をかけることもありました。
氷室に心酔しており、氷室のためなら何でも出来ると考えているあたりは、田村と通じるところがあります。
ニシザワ
【侠和会】龍征会
ニシザワは画像(左)の人物。
健太の下についている人物で、健太を兄貴分賭と慕い、よく一緒に行動しています。
龍征会幹部
【侠和会】龍征会
ニシザワと同じく、健太の下についている人物で、健太とよく一緒に行動しています。
あまり良くしゃべるタイプではないですが、忠義には厚い様子です。
小堺 透馬
【侠和会】山崎組 幹部
山崎組の幹部であり、氷室よりは格下の川谷の子分。療養中の工藤会長の世話をするなど、かなり信用されている人物らしく、重用されています。
●工藤 雅信
【侠和会】二代目会長
初代の後をつぎ、日本統一2から侠和会の会長として組を引っ張ってきた人物。
自分の地位名声には固執しておらず、すべては初代の夢である極道界の日本統一のために動いています。
福本の配下のヒットマンに襲われ重症を負い、療養中です。
●渡部 圭太
【侠和会】本部長
工藤組系列の極道で、工藤にとっての腹心。山崎組の台頭で部下の不満がたまる一方で頭を痛めています。
本人も川谷や氷室の台頭には快く思っておらず、少しずつ不満を感じている様子です。
彼の不満は後々に大きな問題となって爆発します。
●財前 直也
【侠和会】工藤組幹部
工藤組系列で渡部の部下にあたる人物。思慮が浅く、出世欲も強いために、氷室を敵視しています。
工藤会長が己の保身よりも「侠和会による日本統一」を夢に掲げている事を考えると、不忠の輩とも言えるでしょう。
彼の怒りは次第に渡部に伝播していき、工藤組を破滅の道へと導きそうです。
●中島 勇気
【侠和会】中島組組長
氷室や田村の指示に従う、いわゆる氷室一派の一員。普段は軽快で冗談も言うような気さくな性格ですが、氷室の敵や組の敵に対してはかなり無愛想な人物。
頭の回転はそこまでよくないようですが、空気は読めるタイプ。
●大成 虎雄
【侠和会】川谷組幹部
田村にべったりくっついている武闘派の男で通称「トラ」。かなりの武闘派で頭の方は空っぽな印象。
仲間内での人情話には弱く、女の子にも弱い性格。
●坂口 丈治
【侠和会】山崎組 構成員
川谷の実子で、現在は氷室の下で修行中の身。当初はただの暴れん坊でしたが、極道入りして男を磨き、今では聞き分けも良い若手有力株。
父譲りの度胸の良さを持ち、物怖じすることは殆どない様子。
●馬場 伊左雄
【侠和会】若頭補佐
馬場は侠和会のNo3の位置にいる重鎮。野心家で単純そうに見えますが、実は懐の深いところもあり、1世代前の極道を地でいく男といった印象です。
会長やNo2である川谷の心づもりを理解して行動しています。
●木島 一茂
【侠和会】幹部
当初は氷室や田村にとっては兄貴分の位置にいましたが、すっかり追い抜かれてしまい焦りを感じている人物。
山崎派か工藤組派かでいえば、工藤組派に属しており、工藤組が川谷や氷室を恨んでいることを知っています。
根は実直であるものの、周りに流されやすく、いざという時の判断力に多少難があります。
坂下組
坂下 惟秀
【西日本睦会】坂下組 組長
福本の兄弟分で最近まで服役していた人物。かなりの武闘派で争うことが大好き。
人を見る目はないようで、福本を兄弟分として尊敬していますが、福本は手がつけられないバカとしか思っていない様子です。
本作のラストでは田村配下の暗殺部隊に襲われ、自殺に見せかけられて殺されてしまいます。
●坂下組 若頭
【西日本睦会】坂下組
坂下組の若頭であろう人物。性格な役職は不明。地元の建設業者を揺する架空の会社の社長をしていた男です。坂下と同じく、暴力的で暴れるのが大好きなようですが、ある程度頭は回る様子。
本作のラストで、坂下と一緒に殺されてしまいます。
●折原
【西日本睦会】坂下組
坂下組の若頭補佐で若頭共々、地元の建設業者を揺すっていました。若頭とおなじく本作のラストで、坂下と一緒に殺されてしまいます。
●臼井
【西日本睦会】坂下組
三谷組の地元の建設業者を揺すっていた会社の顔役。実際には坂下組の構成員です。
坂下組の若頭は建前上「社長」なのに「兄貴」と呼んでしまって逆鱗にふれ、身内にボコボコにされてしまいます。
更に本作では、坂下と一緒に殺されてしまいます。
丸神連合
奈村 志郎
【丸神連合】苗村組組長
水神会系列で奈村組の組長。己の損得しか頭になく、自分の得になるのであれば、仲間は誰でも良いような人物。
苗村は丸神連合でも次第に問題をおこす人物となっていき、後々のエピソードで大きな事件を引き起こします。
豊中
【丸神連合】豊中組組長
水神会系列の極道で豊中組の組長、衝動的な人物で、自分の欲のためには、兄貴分の命令も聞かなくなる問題児。
福島の覇権争いで、工藤組の財前と揉めており、一触触発の状態です。
●秋本 照政
【丸神連合】秋元組組長
日本統一1から登場する関東の極道で、現在は秋元組の組長。刑務所時代に氷室と意気投合し、兄弟分の間柄となります。
丸打組と水神会の合併に最も貢献した人物の一人で、彼なしでは合併はなかったと言ってもいいほど。
傑物ですが、逮捕されることが多く、あまり表社会に顔を出していません。
●若宮 猛
【丸神連合】丸神連合局長
日本統一1から登場している関東の極道。当時は性格の悪いイヤな人間でしたが、心変わりして今では度胸も人情もある立派な男。
秋本不在の間、三田組を支えていた人物で氷室とも兄弟分の間柄です。
西日本睦会
福本 貞夫
【西日本睦会】会長
広島の極道で、氷室には何度も苦渋を舐めさせられており、恨んでいます。どちらかというと思考を重ねて暗躍するタイプで、一言で言うと卑怯な男。
自分の地位や名声のためなら、なんでもする性格で、氷室や工藤を暗殺しようとしますが、いずれも失敗におわっています。
●原木 秀一
【西日本睦会】幹事長
福本の腰巾着であり腹心。彼の指示のもと様々な暗殺計画が実行されましたが、いずれも失敗に終わっています。
器としても福本を一回り小さくしたような人物で傑物とは言えません。
中川 至道【NEW】
【西日本睦会】中川組組長
西日本睦会に所属していますが、福本の行動には納得していない人物。暗殺計画なども知りませんでした。
福本の配下に半ば脅される形で、福本を会長の座に上げることに賛成してしまいます。
本作と次作以降では演じている俳優が違うので注意。
北村 朝雄【NEW】
【西日本睦会】柳ヶ瀬連合会長
柳ヶ瀬連合の会長。西日本睦会に席を置いているものの、侠和会と揉めることは大反対しています。
長いものには巻かれるタイプで、できれば争いを避けて通りたい様子。
そのため、本作で坂下を匿うことになり、頭を悩ませています。(坂下は、工藤や氷室を暗殺しかけた人物)
野城 邦夫
【西日本睦会】野城組組長
西日本睦会に所属する極道の一人。本作ではあまり語られていませんが、福本の行動にはあまり納得がいっていないようで、不満をかかえています。
その他
土岐 匡平【NEW】
【岐阜】土岐組 組長
岐阜に居をかまえる土岐組の組長で坂下と同じく好戦的なタイプで話があう様子。
柳ヶ瀬連合の北村の元をでた坂下を匿っていました。
土岐は今後も活躍する意外と重要な人物で、彼の物怖じしない態度は、昇進につながっていきます。
香取 和雄【NEW】
【名古屋】熱田組組長
名古屋の熱田組の組長で重光一家をライバル視している人物。先に侠和会入りした大井のことを怒っており、潰そうと考えています。
ただ好戦的なタイプではなく、勝てない争いはしないタイプ。
大井 忠雄
【侠和会】重光一家総長
重光一家総長で名古屋に居を構える極道の一人。侠和会においては、名古屋進出のだいじな足がかりとなっています。
熱田組の香取とはライバル関係にあり、互いに意識しあっています。
●田村の暗殺部隊の一人(西)
【田村の暗殺部隊】
画像中央の人物が西。今後も活躍する田村おかかえの暗殺部隊の一人です。
彼の素性は殆ど語られていませんが、腕は確かな様子。
●田村の暗殺部隊の一人(東?)
【田村の暗殺部隊】
田村おかかえの暗殺部隊の一人。本作で名前や通称は明かされていませんが、後々のエピソードで同じ髪型の東(俳優は別)という男が出てくるので、彼の通常は東かもしれません。
●田村の暗殺部隊の一人(南?)
【田村の暗殺部隊】
田村おかかえの暗殺部隊の一人。本作で名前や通称は明かされていませんが、後のエピソードで東、西、北が登場するので、通称は南かもしれません。
まとめ
ポイント
- 工藤組の山崎組に対する不満が日増しに高まる
- 福島、名古屋、岐阜の各地で揉め事が起こっており、侠和会、丸神連合、西日本睦会という3つの大きな極道がにらみ合う結果になる
- 氷室の捜索は着実に福本に近づいており、その刃は目前まで迫っている
- 次作では名古屋の勢力図が大きく変わっていく。キーマンは香取、大井、土岐の3人。
福本の懐刀である坂下を仕留めた氷室は、着実に工藤暗殺事件を黒幕(福本)に近づいていきます。
一方で次作は名古屋極道の勢力図が大きく変わるエピソードとなり、特に氷室の男気や器の大きさがわかるエピソードとなっています。
本作が氷室の闇の部分なら、次作は氷室の表の部分といった印象です。