日本統一5では氷室、田村、大宮の3人が出所することとなります。本作では今まで語られなかった氷室の過去や親の事、川谷との不思議な縁などが明らかになっていき、日本統一シリーズ序盤の中でもとても重要なエピソードになっています。
また大宮が侠和会執行部を怒らせるほどの大きな事件を起こし、これが日本統一7まで続く、氷室と田村の仲間割れの原因となっていきます。
大宮は狂気に塗れた男ですが、三上や田村への愛情は強く、特に田村に対しては本当の兄のように優しく接しており、感情起伏の激しさが浮き彫りになります。大宮は日本統一シリーズ発のスピンオフでは準主人公となるので、人となりはしっかりと覚えておきたいところ。
ここでは氷室の過去や大宮が起こす事件などを軸に詳しく説明していきます。
「日本統一5」あらすじ
出所間際の氷室、田村、大宮
前作の刑務所騒動から少し経ち、氷室の元に三上から手紙が届きます。内容は三上組から川谷組への移籍の話で、三上と川谷の間で話し合った結果、氷室は三上組に移ったほうが良いのではないかと言います。
氷室の出所は数年先なので、出所までにゆっくりかんがえて結論を出してくれと言われるのですが、氷室の心には迷いがあり結論をだすことができません。
一方、田村と大宮は親交を厚くし、田村は大宮を尊敬する叔父貴として慕うようになります。一方大宮も田村をとても可愛がり、「コイツは立派な極道だ」と思うようになります。
数年後、大宮のもとに「三上組の若頭であり、田村の兄貴分でもある氷室が三上組を抜けて川谷組に移籍するらしい」という情報が入ります。
大宮は親子盃の絆をとても重要に考えており、「親を取り替えるなんて、そんな筋違いなことをする奴がいるのか?」と疑念を持ちますが、田村は「兄貴(氷室)にかぎって、そんなデタラメな事するわけがない」とうので、出所したら自分の目で確かめようと心に決めます。
3人の出所順は、最初に大宮、次に氷室、最後に田村になります。
大宮が大暴れ
大宮が出所し、三上の元に行くと氷室の移籍話は本当だと言うことを知ります。三上自身は納得しており、こうするのが一番いいと思って話を進めているというのですが、大宮は「どんな理由があっても親を取っ替え引っ替えするなんて駄目だ!」と言います。
たとえ三上が良くても、子である氷室が移籍話を断るのが筋なのに、未だ返答がないなんて心が揺れている証拠だ!と怒り心頭、冷める様子もありません。
氷室が出所するまでの期間、大宮は三上組の看板を背負って暴れまくります。三上の親分のため!といって部下を手荒に扱い、しのぎのとり方も超乱暴で、暴行事件や殺人を繰り返す始末です。
大宮としては三上組への強い気持ち半分、出所してくる田村に良い地位をプレゼントしたいという気持ちが半分あるようです。
しかし、現在の日本では大宮のやり方は、警察の目を引くだけで、三上組はもちろん侠和会の立場を悪くする一方であり、三上や侠和会幹部、工藤会長が逮捕されかねず、侠和会での印象は最悪です。
加えて氷室が出所してくると、「放免祝い(出所祝)などする必要がない!」と息巻き、「俺はお前が嫌いだ」と氷室に喧嘩を売ります。
氷室と川谷の隠された縁
氷室は大宮と会った後、川谷に会いに行き「なぜ俺を欲しがるのですか?」と質問します。
すると川谷は、工藤会長から「氷室は関東極道の重鎮であった藤代組初代総長、藤代の実子である」と聞かされたそうです。川谷は若い頃に藤代総長の元におり大変な恩がありました。
工藤会長も川谷の過去は知っており、「藤代総長に恩があるのだから、お前がしっかり氷室の面倒をみてやってくれ」とお願いされます。
川谷は工藤会長に言われずとも、その事実をしってから、氷室のことを考えずにいられなくなり、自分の元(川谷組)で育てたいと考えるようになったとの事です。
(川谷にとっては、自分の親である山崎の仇をとってくれたのも氷室であり、大きな恩があります)
一方、氷室も川谷の話をきいて子供の頃を思い出します。そういえば父のそばに川谷らしき男がおり、父(藤代総長)がドスをもったチンピラに襲われた時、素手で殴り飛ばして守った男がいた。「こんな強い男が居るのか、俺もこんなふうになりたいな」とおもったそうです。
こうして氷室と川谷の距離はぐっと縮まります。
大宮組と川谷組
大宮は三上組のシマを広げるべく、川谷組のシマにまで手を伸ばし始め、川谷の子分を半殺しにしてしまいます。(殺す勢いでしたが、健太が止めて病院に送ります)
この事は、内輪もめに過敏な侠和会執行部でも大問題となり、執行部からの命令で処分されそうになりますが、被害者であるはずの川谷が頭を下げ「穏便に済ませて欲しい」と願い出ます。
大宮は川谷のお陰で執行部からの処分はなくなりますが、大宮が所属する三上組の組長である三上には「組内で処罰、対処するように」との厳重注意が下ります。
川谷組の幹部である村上は、「自分の仲間が半殺しにあったのに大宮への処分が軽い!」と腹を立て、悔し涙をこらえて街に飲みに行きます。
一方、三上は若い頃からの相棒で恩もある大宮に厳罰を下すことができず「一ヶ月謹慎くらいでいいかな…」と甘い裁定を下そうとしますが、氷室や斎藤が猛反対します。
「そんな軽い罰で大宮が懲りるはずがないし、今後も問題を起こし続けるにきまっている。引退か破門のどちらかにすべきだ!」と訴えますが、三上はすぐに判決をくだせません。
そこで氷室が「破門」よりは軽い「引退」を自ら告げに行くと申し出ます。
氷室が大宮のもとに行って引退勧告をすると、大宮は暴れだして氷室をボコボコに殴ってどこかに行ってしまいます。この事をしった三上は目が冷め、大宮に対し引退よりも重い「破門」を言い渡し、大宮は失意のどん底に落ちます。
氷室VS大宮
破門勧告で落ち込んでいる大宮のもとを、偶然川谷組が村上が通りかかります。村上は「仲間の仇!」と大宮に喧嘩を売りますが、返り討ちにあって捕まってしまいます。
その上大宮は三上に「自分の破門をといて、氷室を破門にすれば村上を開放する。そうでなければ殺す」と脅しをかけます。
この村上誘拐事件には川谷も激怒し、「おれが大宮を殺しても、堪忍してくれるか?」と三上に告げに来ます。
ことの次第をしった氷室は、「自分を破門にしてください」とお願いし、そのまま大宮のもとに向かいます。
川谷は三上に「なんでいつも氷室に辛い役目ばかり押し付けるんだ!本当にそれで良いのか?」と詰め寄ります。
大宮の元には氷室破門の報が届き、村上は開放されるが、氷室率いる龍征会と大宮組は抗争状態に入ります。
氷室と大宮の激闘の末、氷室が殺されそうになった時、三上と川谷の救援が間に合い、三上の手で大宮は射殺されます。(この罪は斎藤が被り、投獄されます)
一方、獄中の田村には「大宮が死んだ」という情報だけが届き、「氷室が大宮を殺した!」と思い込みます。数カ月後に田村が出所する頃、田村は怒りの形相になっています。
「日本統一5」登場人物
氷室 蓮司
【侠和会】侠和会 山崎組
日本統一シリーズの主人公。親友の田村と共に極道入りし、川谷の下で日本統一を目指します。
頭が切れる策士タイプで、仲間内には優しく争いを好まない。ただし敵や気に食わない事にはキレやすく暴力的になる一面もあります。
川谷はどんどん出世させようとしていますが、本人はあまり納得がいっていない様子です。
田村 悠人
【侠和会】川谷組 若頭
日本統一シリーズのもうひとりの主人公。氷室を慕い、共に日本統一を目指しています。川谷の事も尊敬していますが、どちらかといえば全ては氷室のためでした。
ところが現在は慕っていた叔父貴分の大宮が氷室に殺されたと思いこんでおり、仲違いしています。
川谷 雄一
【侠和会】山崎組 総長
氷室と田村の命を救い、極道入りさせた張本人。自身の力だけでなく人を見る目もあり、人情味もある根っからの親分肌。
本作から若頭をめぐって三上と出世競争が始まります。
三上 哲也
【侠和会】三上組 組長
氷室と田村が最初に付いた親分。部下の面倒見が非常によく、三上組の極道達は非常に慕っています。
あまり出世欲はなく、可愛い子供(子分)や兄弟分が幸せであれば良いと考えています。
尾本 明良
【侠和会】若頭代行
侠和会に古くから席をおく重鎮で、厳しくも優しい懐の深い人物です。
川谷や三上も叔父貴分として大事にしており、「めいぶつおじさん」のような愛嬌のある人物として描かれています。
斉藤 浩樹
【侠和会】川谷組 若頭
氷室や田村と愚連隊の頃からの仲である、彼らの懐刀です。大宮事件の罪を被り、長い服役に入りました。
菅谷 謙太
【侠和会】龍征会 会長
氷室の姉の子で、氷室にとっては甥。あまり考えずに突っ走るタイプです。
周りに迷惑をかけることが多々あり、本作ではついに侠和会を破門となってしまいます。
氷室に心酔しており、氷室のためなら何でも出来ると考えているあたりは、田村と通じるところがあります。
工藤 雅信
【侠和会】二代目会長
初代の後をつぎ、日本統一2から侠和会の会長として組を引っ張ってきた人物。
自分の地位名声には固執しておらず、すべては初代の夢である極道界の日本統一のために動いています。
どちらかといえば理性的で頭脳派なタイプで、むやみに抗争を起こすことは望んでいません。
●渡部 圭太
【侠和会】本部長
工藤組系列の極道で、工藤にとっての腹心。
上司である工藤や川谷と部下である財前などの間に挟まれた中間管理職のような立場となっており、苦労を重ねています。
●中島 勇気
【侠和会】中島組組長
氷室や田村の指示に従う、いわゆる氷室一派の一員。普段は軽快で冗談も言うような気さくな性格ですが、氷室の敵や組の敵に対してはかなり無愛想な人物。
頭の回転はそこまでよくないようですが、空気は読めるタイプ。
●馬場 伊左雄
【侠和会】若頭補佐
馬場は侠和会のNo3の位置にいる重鎮。野心家で単純そうに見えますが、実は懐の深いところもあり、1世代前の極道を地でいく男といった印象です。
会長やNo2である川谷の心づもりを理解して行動しています。
●町田 駿
【侠和会】山崎組 若頭補佐
町田は氷室や田村が愚連隊の頃から付き合いのある古株です。
冷静沈着で突発的なことはせず、氷室や田村の指示通りに動く忠実な部下とも言えます。
●川上
【侠和会】山崎組 若頭補佐
町田は氷室や田村の子分のような存在で、学生時代から付き合いのある男です。
面倒見がよく、辛抱強さもあるので、ここぞというときは二人に頼られています。
大宮 和也
【侠和会】三上組内・大宮組 組長
三上の相棒でかなりの武闘派でしたが、彼のスタンスと時代が噛み合わず、会からも疎まれて逆上、氷室を殺そうとして三上に殺されてしまいました。
氷室を嫌う一方で田村のことは溺愛しており、よい弟分と思っています。
かやの【NEW】
【侠和会】三上組内・大宮組 若頭
大宮組の若頭で、大宮に心酔しており、彼の指示であればなんでもする男です。
氷室 リョウコ
【一般人】氷室の妻
氷室の妻で、彼が極道であることも承知で結婚しています。
しかし次作が最後の出演となり、いつのまにか離婚してしまったようです。
氷室 悠太
【一般人】氷室の息子
名前の由来は、田村(悠人)と健太の名前を一時ずつ貰っています。
妻と同じく、次作に出演した後は登場していません。
まとめ
ポイント
- 田村は大宮の死の真相を知らず、氷室に殺されたのではないかと思い始める
- 次作より三上組を抜けて、川谷組の幹部に就任する
- 氷室と田村の義兄弟喧嘩が始まる...
何より硬い兄弟の絆で結ばれている思われた氷室と田村の仲ですが、大宮の死によって田村が激昂し、怪しい雲行きとなっていきます。
次作では田村が氷室に敵意をぶつけ、川谷組の氷室、三上組の田村という立場で、互いの親を侠和会の若頭にしようと争い始めます。