日本統一6は、前作での大宮の死をきっかけに氷室と田村が仲違いします。
侠和会内では次期若頭は川谷か三上と言われており、氷室は川谷に付いて力を発揮し、田村は三上組の若頭として三上を推し、二人の仲違いは勢力争いにまで発展してしまいます。
大宮の死の真相を隠す氷室と、大宮への恩義を怒りにかえ氷室と対峙する田村。二人の気持ちが交錯する難しいエピソードなので、ここでは二人の思惑を中心にポイントを絞って詳しく説明していきます。
「日本統一6」あらすじ
田村の出所
大宮が殺されて数カ月後、田村が出所します。田村のもとには「大宮が死亡した」「氷室のせいらしい」という情報だけしなく、怒りの形相で氷室の自宅に押しかけます。
(田村にとって大宮は、刑務所内で親交を深くした叔父貴であり、大宮からは手紙で「氷室のことは信用するな、手を切れ」と言われていました)
田村が氷室に「お前が大宮の叔父貴を殺したのは本当か?」と聞くと氷室は真相を隠し「そうだ」と答えます。
田村は、「川谷組への移籍に大宮が反対したから殺したのだ」と思っており、無抵抗の氷室をボコボコに殴りますが、氷室の子供の視線に気づいて手をおさめ、部屋を出ていきます。
実際のところは、大宮が身内のシマに手を出すほど大暴れして破門をくらい、川谷組の村上をさらって「自分の破門をとき、氷室を破門しろ」と脅した挙げ句、氷室を殺す寸前だったので、三上に殺されました。
ただ三上が大宮を殺したとなると、対外的に三上の立場が悪くなるので、氷室が罪をかぶっている状況となっています。
また、氷室の川谷組行きは、「氷室の実父が川谷と縁がある」「三上は元々、氷室を川谷に返すつもりだった」「大宮が死んだことで、氷室と田村が同じ組にいたら揉めるだろうと思って移籍させた」など様々な理由があるのですが、それらも隠されています。
大宮組の田村
大宮を信じ、氷室に怒りを燃やす田村は、大宮組に乗り込み、強引に大宮組を継ぐと言い始めます。
大宮組には反対意見も多かったのですが、若頭は大宮が田村を気に入っていた事をしっており、皆を説得して、田村が2代目大宮組組長となる事を認めさせます。
更に田村はその人望の厚さから、三上組の若頭に就任します。田村は大宮の意思を継いで「三上の親分を侠和会の若頭にまで押し上げるぞ!」と配下を鼓舞します。
三上は田村の気持ちをありがたく思う一方で「侠和会の若頭になりたい!」「ゆくゆくは侠和会会長になりたい!」といった野心はなく、むしろ田村の猪突猛進っぷりに大宮の姿を重ね、氷室と田村が殺し合わないかと心配になります。
氷室の移籍
氷室は、三上や川谷の誘いにのり、川谷組に移る事になります。そして移籍してすぐ山崎組内川谷組の幹部に就任します。
親を取り替えるというのは極道ではご法度のため、龍征会の面々を置いて一人で川谷組に行こうとしますが、健太や川上、中島など、田村を除く全員が氷室に付いていきたいというので、龍征会ごと川谷組に入ります。
氷室の移籍は田村だけでなく三上組内でも「オヤジを捨てて川谷組にいきやがって!」という不満が高まっていきますが、移籍した山崎組系でも「親を捨てて来たやつなど信用おけない!」という者がおり、氷室の立場はあまりよくありません。
山崎組系で最も信頼がおけるのは、大宮事件の際に氷室に助けられた村上くらいとなります。
次期若頭候補は誰か
侠和会では早急に次期若頭を決めねばなりません。若頭不在では工藤会長の身に何か会った時、すぐに代替えを出来ないからです.
そこで候補に上がっているのが三上と川谷です。川谷は数で勝さっており、策士として有名な氷室が参謀にいることで盤石に見えますが、三上には武闘派の有力株である田村がいるので、一筋縄ではいかなそうです。
現在、侠和会は大阪を攻めようと考えており、大阪攻め最大の功労者が山崎組(川谷)の者か三上組の者かで決まるであろうと執行部で発表されます。
大阪攻め開始
信闘会の残党である岩田が大阪の大和会に匿われているという情報が入ります。
「侠和会の敵を匿うということは、侠和会に弓を引くのも同じ」として、侠和会は大阪攻めの準備を始めていきます。
大和会の小橋は利己的ですが小心者で、若頭の大津に「岩田に盃さえ下ろさねば、侠和会には知らぬ存ぜぬで通せる。簡単に配下を増やせるのでお得」と言われて岩田を迎えたのですが、侠和会が抗議してきた事で「このまま侠和会と揉めたら潰される・・・」と怯えます。
大阪の極道連合の中でも、殆どの者が同様の考えを持っており、小橋はとりあえず、部下の大津に問題の種である岩田を殺してこいと命ずるが、返り討ちにあい殺されてしまいます。
そして岩田は、小橋と話し合いをするために来た侠和会幹部の渡部を襲撃し、抗争が本格化します。
(岩田の襲撃に関して、侠和会は「これで大阪を攻める口実ができた!」とむしろ喜んでいます)
「日本統一6」登場人物
氷室 蓮司
【侠和会】侠和会 山崎組
日本統一シリーズの主人公。親友の田村と共に極道入りし、川谷の下で日本統一を目指します。
頭が切れる策士タイプで、仲間内には優しく争いを好まない。ただし敵や気に食わない事にはキレやすく暴力的になる一面もあります。
川谷はどんどん出世させようとしていますが、本人はあまり納得がいっていない様子です。
田村 悠人
【侠和会】川谷組 若頭
日本統一シリーズのもうひとりの主人公。氷室を慕い、共に日本統一を目指しています。川谷の事も尊敬していますが、どちらかといえば全ては氷室のためでした。
ところが現在は慕っていた叔父貴分の大宮が氷室に殺されたと思いこんでおり、仲違いしています。
川谷 雄一
【侠和会】山崎組 総長
氷室と田村の命を救い、極道入りさせた張本人。自身の力だけでなく人を見る目もあり、人情味もある根っからの親分肌。
本作から若頭をめぐって三上と出世競争が始まります。
三上 哲也
【侠和会】三上組 組長
氷室と田村が最初に付いた親分。部下の面倒見が非常によく、三上組の極道達は非常に慕っています。
あまり出世欲はなく、可愛い子供(子分)や兄弟分が幸せであれば良いと考えています。
●尾本 明良
【侠和会】若頭代行
侠和会に古くから席をおく重鎮で、厳しくも優しい懐の深い人物です。
川谷や三上も叔父貴分として大事にしており、「めいぶつおじさん」のような愛嬌のある人物として描かれています。
●斉藤 浩樹
【侠和会】川谷組 若頭
氷室や田村と愚連隊の頃からの仲である、彼らの懐刀です。大宮事件の罪を被り、長い服役に入りました。
●菅谷 謙太
【侠和会】龍征会 会長
氷室の姉の子で、氷室にとっては甥。あまり考えずに突っ走るタイプです。
周りに迷惑をかけることが多々あり、本作ではついに侠和会を破門となってしまいます。
氷室に心酔しており、氷室のためなら何でも出来ると考えているあたりは、田村と通じるところがあります。
工藤 雅信
【侠和会】二代目会長
初代の後をつぎ、日本統一2から侠和会の会長として組を引っ張ってきた人物。
自分の地位名声には固執しておらず、すべては初代の夢である極道界の日本統一のために動いています。
どちらかといえば理性的で頭脳派なタイプで、むやみに抗争を起こすことは望んでいません。
●渡部 圭太
【侠和会】本部長
工藤組系列の極道で、工藤にとっての腹心。
上司である工藤や川谷と部下である財前などの間に挟まれた中間管理職のような立場となっており、苦労を重ねています。
●中島 勇気
【侠和会】中島組 組長
氷室や田村の指示に従う、いわゆる氷室一派の一員。普段は軽快で冗談も言うような気さくな性格ですが、氷室の敵や組の敵に対してはかなり無愛想な人物。
頭の回転はそこまでよくないようですが、空気は読めるタイプ。
●馬場 伊左雄
【侠和会】若頭補佐
馬場は侠和会のNo3の位置にいる重鎮。野心家で単純そうに見えますが、実は懐の深いところもあり、1世代前の極道を地でいく男といった印象です。
会長やNo2である川谷の心づもりを理解して行動しています。
●町田 駿
【侠和会】山崎組 若頭補佐
町田は氷室や田村が愚連隊の頃から付き合いのある古株です。
冷静沈着で突発的なことはせず、氷室や田村の指示通りに動く忠実な部下とも言えます。
●川上
【侠和会】山崎組 若頭補佐
町田は氷室や田村の子分のような存在で、学生時代から付き合いのある男です。
面倒見がよく、辛抱強さもあるので、ここぞというときは二人に頼られています。
大宮 和也
【侠和会】三上組内・大宮組 組長
三上の相棒でかなりの武闘派でしたが、彼のスタンスと時代が噛み合わず、会からも疎まれて逆上、氷室を殺そうとして三上に殺されてしまいました。
かやの
【侠和会】三上組内・大宮組 若頭
大宮を支えていた組の若頭でしたが、大宮が死んでしまい、今は田村のもとで若頭として奮闘しています。
小橋 雅俊【NEW】
【大阪極道】大和会 会長
大阪極道の中でもとくに利己的で根性なしな人物。岩田を抱え込んで大宮極道を破滅に追いやった人物とも言えます。
中村 哲夫【NEW】
【大阪極道】小桜一家 組長
大阪極道の中でも穏健派で、侠和会と闘うのは無謀と考えている人物。どうにか生き残る術を探しています。
●岡地【NEW】
【大阪極道】岡地組 組長
大阪極道の中では、侠和会と闘うのは無謀と思っているが、侠和会入りするのも嫌だと迷っている人物。
●石村【NEW】
【大阪極道】石村組 組長
岡地と同じく、大阪極道の中では、侠和会と闘うのは無謀と思っているが、侠和会入りするのも嫌だと迷っている人物。
岩田
【信闘会】残党
侠和会内でクーデターを起こした信闘会の残党です。侠和会には深い恨みを抱えており、大阪極道を頼って反撃を考えていました。
金澤 宏之【NEW】
【大阪極道】北仁会 会長
大阪極道の中では唯一の武闘派で侠和会と戦おうと考えています。
しかし他の大阪極道は「侠和会に勝てるわけがない」と考えており、不甲斐なく思っています。
秋本 照政
【丸神連合】三田組 組長
関東を統べる丸神連合の重鎮で、丸打組と水神会を合併させることに心血を注いだ人物。
氷室とは兄弟分の仲となっており、お互いにトップになるまでは極力争わないようにいようと決めています。
若宮 猛
【丸神連合】三田組幹部
日本統一1から登場している関東の極道。当時は性格の悪いイヤな人間でしたが、心変わりして今では度胸も人情もある立派な男。
秋本不在の間、三田組を支えており、氷室とも兄弟分の間柄です。
宮本 稜治
【政治結社・右翼】宮本同友會政治連盟議長
氷室が刑務所に服役している頃に知り合った男で、氷室の弟分です。
氷室の頃を尊敬しており、右翼のトップである堀井とつなげました。
植木 尚人
【極山会】植木組組長
極山会という神農系極道に所属する男で、宮本とともに氷室が刑務所に服役している頃に弟分となりました。
神農系は的屋系ともいわれ、博徒系とよばれる侠和会のような組織とは全く稼ぎ方も流派もちがう組織です。
●氷室 リョウコ
【一般人】氷室の妻
氷室の妻で、彼が極道であることも承知で結婚しています。
しかし大阪編が最後の出演となり、いつのまにか離婚してしまったようです。
●氷室 悠太
【一般人】氷室の息子
名前の由来は、田村(悠人)と健太の名前を一時ずつ貰っています。
妻と同じく、大阪編以降は登場していません。
まとめ
ポイント
- 岩田が渡部を襲ったことで、大阪抗争は逃れられない事態となる
- 氷室は冷静に大阪の内部情報収集からはじめ、田村は先手を打とうと血気盛んになる
- 三上は、氷室と田村が自分と大宮の関係の二の舞にならないかと心配する
ついに氷室と田村が衝突し、同時に大阪抗争が始まります。次作からは氷室と田村のどちらが大阪抗争の功労者になるかで争い、山崎組(川谷)と三上組の出世競争になります。
田村は大宮の死の真相を知らないままなので、いつ知ることになるかがポイントになりそうです。