日本統一9では名古屋の重光一家の跡目争いを中心に、侠和会と玄誠会がぶつかり合います。
本作のキーマンは氷室の甥である健太で、名古屋攻めの舵取りを任せられますが、思うようにいかず裏目にでてしまいます。
一方、四国・中国地方ではついに玄誠会を中心とした反侠和会同盟が発足し、大きなライバルとなって侠和会の日本統一を阻み始めます。しばらく登場する難敵なので、発足した経緯を含め、ここでは本作の重要なポイントにそって詳しく説明していきます。
「日本統一9」あらすじ・みどころ
重光一家の跡目争い
名古屋の極道、重光一家では跡目争いが勃発中で、若頭の花田派と若頭補佐の大沢派で分裂しています。
立場を考えれば若頭の花田が有力なのですが、花田は小狡い上にお金に汚く、配下の者にも信用がありません。そこで広島の大御所極道「玄誠会」をバックにつけている柳ヶ瀬連合に賄賂を送るなどして色目を使い、後目への後押しをしてもらおうと企んでいます。
一方、大沢は男らしい性格の武闘派で配下からの信頼も熱いですが、あまり跡目争いには興味がなく、暴力事件を起こしては刑務所の出入りを繰り返しており、あまりシャバにいません。
現在のトップである浅井総長は体調も悪く高齢で服役中ですが、大沢を可愛がっており、できれば大沢を跡目にしたいと考えています。花田も浅井総長が復帰したら跡目争いに敗れると思っており、地盤固めを急いでいます。
※大沢役の松田優と花田役の飛野悟志は、日本統一2~3に登場した信闘会の会長役と幹部役も務めていましたが、今作では別人を演じているので注意が必要です。
侠和会VS玄誠会
広島に本拠地を構える玄誠会はどんどんシマを広げる侠和会に危機感を感じており、反侠和会の極道連合を結成しようとしています。
玄誠会の幹事長である福本は特に氷室に敵意むき出しで、多くの極道に声をかけており、極道会の重鎮、九州の至誠会にまで声をかけています。
至誠会は玄誠会の誘いを断るのですが、この組織は侠和会と非常に仲のいい組織であり「親戚」といっても良い間柄なので「至誠会に声をかけること自体、喧嘩を売ってるようにしかおもえない!」と侠和会執行部は激怒します。
福本は現在、名古屋も吸収する腹積もりで、岐阜の柳ヶ瀬連合をつかって花田を抱き込み、重光一家を吸収しようと考えています。花田の対抗馬に大沢が居ることを知ると「大沢を殺してしまえばいい」と花田にいいますが、花田は大沢の凶暴さを知っており、恐れて手を出そうとしません。
一方、侠和会は工藤会長付の小堺が重光一家の若頭補佐である遠藤と兄弟分なので、遠藤を通して後押して重光一家の跡目に大沢をつかせ、重光一家を侠和会入りさせようと考えています。同時に前作から揉めている岐阜の柳ヶ瀬連合の息の根も止めるつもりでいます。
秋元の出所と丸神連合
関東では、氷室の兄弟分である秋元が出所し、丸打系三田組の頭となります。
現在丸打組は、長年のライバルだった水神会と連合を組んで一つにまとまろうとしているのですが、過去の因縁を水に流せず反対する者も多い状況です。そこで秋元は体を貼ってでも、連合の樹立を成功させようと必死です。
そんな秋元のもとに出世と出所の祝をかねて氷室が挨拶しにいきます。
今回侠和会が名古屋責めをするにあたり、名古屋には水神会系列の極道もいるのですが「水神会のシマには手を出すつもりはない」と宣言し、秋元も問題にならないようにサポートすると約束します。
健太の名古屋攻め
川谷は氷室を出世させて、山崎組の跡目に就かせようとかんがえています。それだけでなく侠和会の執行部を山崎組の者で固めて力を大きくしようとしています。
その先駆けとして、「今回の名古屋攻めは菅谷(健太)に任せてみてはどうだ?」と氷室に提案します。健太は氷室や田村の子分のような扱いですが、そろそろ一人前の極道に成長すべき時期であり、いつまでも子分に甘んじさせずチャンスをやるべきだという思惑です。
かくして健太は鼻息を荒くして名古屋攻めに向かうのですが、実は「氷室の甥だからチャンスが貰えたと周りには色眼鏡でみられている」と焦っており、手柄を立てようと躍起になって、部下には暴言を吐く始末です。
健太の焦りを感じた町田は「おまえはちゃんとやってきているから焦るな。イケイケだけじゃなくてしっかりと仕事をやれるって事を証明してやれ」と諭しに着ます。
健太が町田の言葉に納得しかけたその時、柳ケ瀬連合の強襲に会い、町田は重症を負った挙げ句、騒動の責任をとり、刑務所入りしてしまいます。
かくして健太は名古屋攻めに向かうのだが、「氷室の甥だから色眼鏡でみられている」と焦っており、手柄を立てようと勇み足ばかりになる。
健太は町田の仇を取ろうと柳ケ瀬連合の会長である北村を狙って付け回しますが、北村は水神会の事務所に逃げ込んでしまいます。頭に血が登っている健太は水神会の事務所に殴り込んで北村を殺そうとし、これが大問題になります。
このままでは、水神会と侠和会の抗争となり、水神会を含む丸神連合と侠和会の争いにも発展しかねません。
そこで丸打組No2の若宮が指をツメて仲裁にはいり、若宮の覚悟に水神会も納得します。侠和会側も今回の騒動を詫びに工藤会長と川谷が頭を下げて回ります。
事の次第を重く受け止めた氷室は、健太を破門とし、侠和会から追放します。
花田の死と健太の凶行
氷室は大沢を懐柔すべく重光一家の浅井総長の出所に手を貸し、さらに入院先まで手配します。大沢は総長の出所にも病院手配にも難航していたので、氷室に大きな恩を感じ、しっかり礼がしたいと言います。
氷室は「こっちの都合でやったこと」と言いますが、大沢は「極道が礼儀を忘れてしまったらおしまい」といい、きっちり礼をするといいます。氷室と田村は大沢の男らしさに心地よさを感じます。
浅井総長が出所するとなると焦るのは花田です。浅い総長は大沢を気に入っているので、自分が後目につける確率が低くなります。そこで花田は、柳ヶ瀬連合と結託して大沢を殺す計画を立てます。
一方、破門になった健太は汚名を注ごうと、花田を殺そうと背後から近寄ります。そこに川上が現れて健太を止めて「勝手なことをするな」と説教します。
すると花田の近くに大沢が現れ、待ち伏せしていた柳ヶ瀬連合の組員が大沢を殺そうとします。健太と川上の加勢もあって大沢は死なずにすみますが、大沢は花田の腐った根性に激怒し、花田を殺してしまいます。
この銃撃事件の際に、川上が被弾してしまい、川上はすべての罪をかぶって刑務所入りしてしまいます。
重光一家の跡目は遠藤
侠和会の介入(正確には健太のスタンドプレイ)に怒りを感じた柳ヶ瀬連合の若手が、仕返しに川谷組の金沢を襲撃し、殺してしまいます。金沢の死も健太の凶行が招いた事なので、健太の業はより一層深みを増します。
一方、花田の死には侠和会が介入したとも見えぬ事態なので、遠藤は大沢の首を持ってこなくば、重光一家は侠和会を信用出来ぬと言います。
(花田が大沢を殺そうとした件は表に知られておらず、大沢と侠和会が結託して花田を殺したように見える)
事態を理解した大沢は、浅井総長への忠義と氷室への恩を合わせ、氷室の前で拳銃自殺し責任を取ります。
程なくして浅井総長は隠居し、残った遠藤が総長となって重光一家は侠和会の傘下に入ります。
玄誠会の高坂会長は今回の侠和会の縄張り拡張に更に危険を感じ、ついに反侠和会連合「西日本睦会」を発足します。
「日本統一9」登場人物
氷室 蓮司
【侠和会】侠和会 山崎組 若頭
日本統一シリーズの主人公。親友の田村と共に極道入りし、川谷の下で日本統一を目指します。
頭が切れる策士タイプで、仲間内には優しく争いを好まない。ただし敵や気に食わない事にはキレやすく暴力的になる一面もあります。
川谷はどんどん出世させようとしていますが、本人はあまり納得がいっていない様子です。
田村 悠人
【侠和会】川谷組 若頭
日本統一シリーズのもうひとりの主人公。氷室を慕い、共に日本統一を目指しています。川谷の事も尊敬していますが、どちらかといえば全ては氷室のため。
喧嘩っ早く単純な思考回路にみえるが察しが良いし、仲間思いで忠義にも厚い人物。氷室とは逆に芯は落ち着いており、氷室がうろたえたり、キレた時は全力で支えます。
氷室の下についていればよく、あまり出世欲はありません。
川谷 雄一
【侠和会】若頭 山崎組総長
氷室と田村の命を救い、極道入りさせた張本人。自身の力だけでなく人を見る目もあり、人情味もある根っからの親分肌。
若頭という身分だったが、工藤の引退により三代目会長になります。早くから氷室の実力を見抜いており、自分の側近とすることで力をつけます。
菅谷 謙太
【侠和会】龍征会 会長
氷室の姉の子で、氷室にとっては甥。あまり考えずに突っ走るタイプです。
周りに迷惑をかけることが多々あり、本作ではついに侠和会を破門となってしまいます。
氷室に心酔しており、氷室のためなら何でも出来ると考えているあたりは、田村と通じるところがあります。
工藤 雅信
【侠和会】二代目会長
初代の後をつぎ、日本統一2から侠和会の会長として組を引っ張ってきた人物。
自分の地位名声には固執しておらず、すべては初代の夢である極道界の日本統一のために動いています。
どちらかといえば理性的で頭脳派なタイプで、むやみに抗争を起こすことは望んでいません。
渡部 圭太
【侠和会】本部長
工藤組系列の極道で、工藤にとっての腹心。
上司である工藤や川谷と部下である財前などの間に挟まれた中間管理職のような立場となっており、苦労を重ねています。
中島 勇気
【侠和会】中島組組長
氷室や田村の指示に従う、いわゆる氷室一派の一員。普段は軽快で冗談も言うような気さくな性格ですが、氷室の敵や組の敵に対してはかなり無愛想な人物。
頭の回転はそこまでよくないようですが、空気は読めるタイプ。
大成 虎雄
【侠和会】川谷組幹部
田村にべったりくっついている武闘派の男で通称「トラ」。かなりの武闘派で頭の方は空っぽな印象。
仲間内での人情話には弱く、女の子にも弱い性格。
馬場 伊左雄
【侠和会】若頭補佐
馬場は侠和会のNo3の位置にいる重鎮。野心家で単純そうに見えますが、実は懐の深いところもあり、1世代前の極道を地でいく男といった印象です。
会長やNo2である川谷の心づもりを理解して行動しています。
町田 駿
【侠和会】山崎組 若頭補佐
町田は氷室や田村が愚連隊の頃から付き合いのある古株です。
冷静沈着で突発的なことはせず、氷室や田村の指示通りに動く忠実な部下とも言えます。
今作では銃撃事件で重症を負い、そのまま刑務所送りになってしまいました。
川上
【侠和会】山崎組 若頭補佐
町田は氷室や田村の子分のような存在で、学生時代から付き合いのある男です。
面倒見がよく、辛抱強さもあるので、ここぞというときは二人に頼られています。
本作では銃撃事件の際に重症を負い、刑務所入りしてしまいます。
小堺 透馬
【侠和会】工藤会長付
工藤会長にぴったりとくっついている侠和会幹部の一人です。
立場は高いですが、あれこれと幹部に命令するというよりは、工藤会長や侠和会の意向にそって忠実に動いています。
刑務所時代に重光一家の遠藤と兄弟分になっており、本作では侠和会と重光一家の橋渡しをしています。
金澤 宏之(兄)
【侠和会】川谷組内北仁会会長
川谷組に席を置く極道で、力自慢のパワーファイターです。ただしイケイケというわけではなく、むしろ落ち着いているタイプ。
在日韓国人であり、弟がいじめられているのを守ろうと務めていたらいつのまにか極道になってしまったそうです。
本作では、足を洗ってカタギになる決意をしますが、柳ケ瀬連合の強襲にあい死んでしまいます。
金澤 (弟)
【一般人】
川谷組の金澤 宏之の弟で、焼肉屋を経営しています。一般人ですが兄とは交友が深く、彼がお金を稼いでくれたお陰で学校に通えたそうです。
兄がカタギになると知って支えると決心した矢先に、兄が殺されてしまい、失意のどん底に落ちてしまいます。
大沢 五郎【NEW】
【重光一家】若頭補佐
総長への忠義が熱い武闘派で、体が非常に大きく、拳銃を持った相手も素手で殺してしまうほどの怪物級の強さと言われています。
跡目問題で花田と対立していますが、本人は出世よりも会のあり方を大事にしている筋のとおった男です。
最後は不運が不運を呼んで、会の信用を失ってしまい、責任をとって自決します。
※大沢役の松田優は、日本統一2~3に登場した信闘会の会長役も演じていましたが、別人です。
花田 茂【NEW】
【重光一家】若頭
重光一家ではNo2の位置にいるいる男ですが、自分の出世や得しか考えておらず、組内での信用は最低となっている男です。
柳ヶ瀬連合にとりいって、後押ししてもらって跡目争いに勝とうとしますが、大沢の勢いに負けそうになって大沢を殺害しようとし、返り討ちにあって死にます。
※花田役の飛野悟志は、日本統一2~3に登場した信闘会の幹部役も演じていましたが、別人です。
福本 貞夫
【玄誠会】幹事長
福本は広島極道の重鎮、玄誠会のNo2の男です。ずる賢くて策略を好み、どうにか利益を得ようと奮闘しています。
関西の大組織、侠和会を敵視しているだけでなく、たびたびぶつかる氷室を目の敵にしており、なんども殺そうとします。
高坂 玄
【玄誠会】会長
広島極道の重鎮、玄誠会のトップを張るのが高坂です。
非常に思慮深くプライドも高い男で、極道としては川谷や工藤とも肩を並べられる存在ですが、あまり部下に恵まれていません。
各地に侵攻していく侠和会を危険視しており、「西日本睦会」という反侠和会連合を立ち上げました。
北村 朝雄
【柳ヶ瀬連合】会長
柳ヶ瀬連合は、侠和会のせいでどんどん弱体化しており、侠和会を強く恨んでいます。
玄誠会の福本とつながっており、打倒侠和会に燃えていますが、あまり求心力はない様子です。
秋本 照政
【丸神連合】三田組 組長
関東を統べる丸神連合の重鎮で、丸打組と水神会を合併させることに心血を注いだ人物。
氷室とは兄弟分の仲となっており、お互いにトップになるまでは極力争わないようにいようと決めています。
若宮 猛
【丸神連合】三田組幹部
日本統一1から登場している関東の極道。当時は性格の悪いイヤな人間でしたが、心変わりして今では度胸も人情もある立派な男。
秋本不在の間、三田組を支えており、氷室とも兄弟分の間柄です。
カナエ
【一般人】(写真右)
大日本礎會の会長である堀井の妹。
キャバクラで働いており、氷室に恋心をもっている人物。
アケミ【NEW】
【一般人】
川谷が務めるバーのママで、川谷の妻。川谷は何度か離婚と結婚をくりかえしているようなので、何度目の妻かは不明です。
演じているのは元グラビアアイドルの宮内 知美。
まとめ
ポイント
- 健太は破門になったが復帰しようと考えている
- 侠和会VS玄誠会は、名古屋においては侠和会が重光一家を手中におさめ勝利したといえる
- 反侠和会連合「西日本睦会」と福本は、侠和会にとって長らく危険な敵となる
健太のせいで死んだ者や刑務所送りになってしまった者が多くいますが、健太の極道魂は折れておらず、次作以降は復帰しようと奮闘します。
一方、本作で発足した西日本睦会は、侠和会にとっておおきな敵役となり、代理戦争を含め各地で対立が激化していきます。
日本統一10~11では侠和会と西日本睦会の流れをくむ四国の極道が抗争になります。また、秋元が丸神連合の確執を取り除くべく、大きく行動にでます。