日本統一40では長らく続いた菊村と辰巳による対侠和会の武力闘争がついに決着します。
前作で辰巳が丸神会を破門となり、二人はついに孤立無縁に。菊村は先代鶴見組の鶴見の仇を討つべく、辰巳は恩ある三田会長に銃口を向けた侠和会を潰そうと奮闘します。
同時に、丸神会では「侠和会の氷室のように、大きな組織をまとめ上げる器量を持つ補佐が丸神会にはいない」ということが問題となりはじめます。
そこで今回は、丸神会の大きな節目となる日本統一40のエピソードを重要なポイントに絞って解説、あらすじをご紹介いたします。
「日本統一40」あらすじを解説
迫田の岩尾、侠和会を知る
菊村と辰巳による暴走を止めるべく丸神会に加入した迫田組は、前作日本統一39で『川谷の妻誘拐事件』の実行犯である刈谷の首を落とし、辰巳を絶縁に追い込みます。
そして迫田組の若頭である岩尾は、氷室のもとに出向いて刈谷の首を見せ、「誠意をみせました。もう関東から出ていってください」と言います。
しかし氷室は納得しません。理由は2つあり、一つは「辰巳も菊村もまだ生きている」「横浜の藤代組は侠和会のシマになったのだから出ていく義理はない」です。
その後、氷室は辰巳に電話をかけて「こっちにこい!相手してやる!」と挑発。岩尾を強引に引き連れて、二人を待ちます。
菊村と辰巳は町中で傷害事件を起こしながら、侠和会の事務所の元にたどり着きますが、結局勝負は付かず、二人は逃げていきます。
丸神会の詫び
迫田組の岩尾は、菊村と辰巳を自分の目で確認したことにより、状況の困難さを知ります。
丸神会執行部では『川谷の妻誘拐事件』により、立場は侠和会のほうが上。茨城と横浜に駐留する侠和会を追い出すのは難しい理解し、解決策を見いだせずにいます。
一方で会長の三田は、前作で辰巳が沖田に発砲した際に盾となり負傷、自分の可愛がっていた辰巳の不手際に心を痛めます。
もう一つの任侠道に反する行為
菊村と辰巳が川谷の妻を誘拐して川谷を殺そうとした行為は、任侠道に反するとされていますが、もう一つの事件が浮き彫りになります。
それは、負傷した菊村を介抱した国元という老人を、「自分の居場所をしる人間は生かしておけない」と菊村が殺していることです。この事件には侠和会を逆恨みしている建設会社の社長、近藤も噛んでいます。
事件の真相は国元の妻であり末期がんの老婆が、夫の死をきっかけに子供のように可愛がっている山村(侠和会・謙勇会 理事長)に助けを求めたことで発覚しました。
老婆の「夫の仇をうちたい!」という思いに川谷夫婦は同情し、自宅で老婆を保護、国元の敵討ちは侠和会が成し遂げると告げます。
侠和会と丸神会による囮作戦
氷室は、沖田と小野寺に「神戸の侠和会に詫びを入れに来い」と言います。狙いは詫び云々よりも、自分たちが揃うことで菊村と辰巳をおびき出し、始末しようという考えです。
しかし話を知った三田が、自分自ら、沖田を連れて侘びに行くと言います。三田は辰巳の尻拭いをするつもりのようです。
三田が来るのであれば、氷室の作戦は方向転換をする必要が出てきます。万が一三田が凶弾で倒れるようなことがあると、おおきな抗争に発展してしまうからです。
氷室は辰巳に電話をかけ「三田会長がお前(辰巳)のために詫びに来る。三田が帰ったら、俺達の元に来い。決着をつけよう」と言います。
辰巳としても三田会長には大恩があるため、了解します。
氷室は三田会長が謝りに来たとしても、辰巳と菊村を許すつもりはない。と心に決めています。
三田の侠気
三田は侠和会との会合の場で、菊村と辰巳が起こした『川谷の妻誘拐事件』について詫びをいれます。
侠和会が茨城と横浜で広げたシマについても了承し、認める。その代わり、菊村と辰巳の命を保証してくれと頼みます。
「たとえどんなに出来が悪くても、任侠の絆は家族。最後まで面倒をみてやりたい」と言います。
三田の侠気に触れた氷室は、勝手に菊村と辰巳を殺すわけにはいかないと悟り、三田にあってほしい人物がいると伝えます。
三田、もう一つの事件を知る
氷室はまず、近藤社長を三田に合わせます。
ここではじめて、三田は菊村が自分を介抱した一般人(国元)を口封じのために殺した事を知ります。この事件を辰巳も知っているはずであると言います。
三田は一般人にまで被害が及んでいたことにショックを受けます。
更に氷室は、国元の妻を山村同伴で呼びます。国元の妻にとって近藤社長は、夫の仇の一人です。
氷室と山村は国元の妻に銃(実際は空砲)を渡し、敵をとっていいと言いますが、妻は撃てず、「これで夫も満足しているはず、私が敵討ちで人を殺すことまで望んでいないはず」と去っていきます。
三田は国元の妻に「ご主人の分まで長生きしてほしい」と告げ、事件の責任を考えると菊村と辰巳の命を救うことは難しいことを悟ります。
決着の時、きたる
ついに氷室と田村、菊村と辰巳の4人が揃う決着の時が訪れます。
しかしそこに三田が現れます。三田は氷室と田村に願い出て伴って来たのでした。
三田は『川谷の妻誘拐事件』だけでなく『国元殺害事件』まで知り、菊村と辰巳の命を救えないならばと、二人に切腹を命じます。
銃弾で死ぬのではなく「男として死ね」と言い放ちますが、二人共納得せず、銃撃戦が開始。
氷室は三田をかばって腕を撃たれるも、菊村を殺します。辰巳はすぐには死にませんでしたが、立ち上がろうとしたところを三田に撃たれて倒れます。
三田は辰巳が死ぬことを確認出来るまで撃ち、氷室たちの手ではなく、自分の手で辰巳の責任を取るのでした。
「日本統一40」登場人物
氷室 蓮司
【侠和会】若頭・龍政会会長
氷室は日本統一シリーズの主人公ともいうべき人物。
知略にたけた頭脳派ですが、実は喧嘩も強く、本気をだせば田村より強いと田村自身が語っています。
本作ではついに、菊村&辰巳を決着をつけます。
田村 悠人
【侠和会】本部長
田村は氷室に続く準主役の人物。喧嘩っ早く単純ですが仲間には情が厚く、頼れる兄貴分です。氷室がキレた時に抑えられるのは田村だけで、場合によっては田村のほうがずっと冷静です。
わりと刹那的な考えをしており、地位や名声には殆ど興味なし。氷室や川谷、仲間が楽しく生きられればそれでいいと考えているようです。
川谷 雄一
【侠和会】会長
川谷は、侠和会の3代目会長。日本統一1作目では侠和会内の山崎組若頭という立場でしたが、どんどんと出世しトップになりました。
極道としてはとても優秀な人物ですが、女関係のトラブルが多い印象です。
山村 義明
【侠和会】謙勇会 理事長
日本統一37から活躍しだしたルーキー。トラや田村と行動することが多い武闘派で、喧嘩も強いタイプです。
本作で、幼い頃よりお世話になっていた国元が菊村に殺されたことをしり、激怒します。
●中島 勇気
【侠和会】中島組組長・四国ブロック長
中島は、氷室に従う部下の一人。氷室と田村からの信頼も厚く、彼自身も忠義に厚い人物です。
派手に手柄を上げるタイプではありませんが、独断専行するようなこともなく、サポート力抜群です。
氷室チームの中ではバランスの取れた人物で、知恵も戦闘力もそこそこあり、事あるごとに氷室から指令をうけては忠実にこなしていきます。
● 川上 章介
【侠和会】山崎組若頭補佐
川上は中島と同じく、氷室と田村をずっとサポートし続けてきた人物。一度は刑務所にお世話になったこともありますが、復帰後も前と変わらず支え続けています。
氷室も「いつも損な役回りをおしつけてしまう」と語っていますが、本人は気にしておらず、氷室と田村のために身を粉にして働く、縁の下の力持ちです。
●坂口 丈治
【侠和会】山崎組 四代目組長
坂口 丈治は川谷の実子。現在は山崎組組長という立場にあります。登場当初はただのチンピラのような性格でしたが、氷室や田村に触れて成長、いまではりっぱな極道となっています。
侠和会の初代会長の実子、権田 陵一とは良いライバル関係で、お互いに意識しあい、どちらが先に出世するか争っている節もありましたが、現在では良き親友でした。
●大成 虎雄
【侠和会】川谷組幹部
田村からは「虎」と呼ばれている田村の子分。氷室に懐いていないわけではないが、どちらかといえば田村にべったり。
田村をもう少し可愛く、かつお馬鹿さんにしたような性格で、粗暴な部分もあるが情に厚く、人情沙汰には弱い様子。
武闘派で田村と一緒に戦うことが多い印象で、何気に戦闘時の反応は早く、田村の良いフォロー役となっています。
●石沢 勇将
【侠和会】山崎組 若頭補佐
中島と同じく氷室や田村の指示に従う、いわゆる氷室一派の一員ですが、あまりこれといった見せ場は今の所ありません。
中島とおなじく、神戸の暴走族でしたが、氷室たちに惚れて付いていき、そのまま極道になりました。
●長谷川 大介
【侠和会】直参 長谷川組組長
長谷川は今の所、大きなエピソードもありませんが、直参組組織の組長であることから、地位が高いことが伺えます。
石沢や丈治、トラと行動することが多いようです。
三田 太源
【丸神会】ニ代目会長
三田は丸神会を統べる会長。熟考に熟考を重ねて行動するタイプで、衝動的な行動を嫌う。
会の事を第一に考えており、己の身可愛さに行動することはない様子。
本作では、辰巳と辰巳の犯した事件の責任を取ろうとしますが、かばいきれない罪であったことを知ります。
沖田 学
【丸神会】幹事長
沖田は、丸神会のNo2ともいうべき人物。三田の指示通りに動いており、時に冷徹な判断もできます。
三田にかわり丸神会の執行部を動かすことも多いのですが、型破りな部下が多く、頭を悩ませています。
どちらかといえば穏健派で、物事は慎重に動かしたいと考えています。
●小野寺 和昌
【丸神連合】理事長補佐・極山会ニ代目会長
東北の的屋系極道をまとめる極山会の2代目理事長。平川や植木とは馴染みのある人物。
沖田派に属する穏健派で、菊村とも仲が悪い様子です。特にココ最近は辰巳の尻拭いばかりをさせられ、疲れ果てています。
菊村 重政
【丸神連合】幹部・鶴見組組長→絶縁
丸神会に属していた頃、恩ある鶴見が侠和会に殺されたことで、非常に恨んでいます。
重症を追った末に狂乱状態となり、本作ではそのまま死亡します。
辰巳 龍三
【丸神連合】三田組 幹部→絶縁
前作で、絶縁状態の菊村と繋がっていたことが露呈し、更には三田会長に怪我を負わせてしまい、絶縁となります。
更には鶴見の犯したもう一つの事件が、任侠道に反しており、三田でもかばいきれぬと殺されてしまいます。
迫田 常夫
【丸神会】迫田組 組長
関東では名のしれた大御所の極道。丸神会とは水神会と丸打組が合併する前からの仲であり、大きな力を持っています。
辰巳の処分を巡って丸神会に頼られ、丸神会入りしました。器は大きい人物のようですが、出世は狙ってないようです。
岩尾 英輔
【丸神会】迫田組 若頭
迫田の右腕となる人物で、迫田の命令通りに動く冷徹な男です。
今の所冷静沈着な殺し屋のような態度をとっており、非常に恐ろしい人物のようです。
ジミー尾形
【武器商人】
氷室とは横浜時代からの知り合いである武器商人です。
元アメリカ兵の父を持ち、非常に陽気で食えない性格をしています。
近藤社長
【一般人】近藤建設社長
侠和会に囲われている、建設会社の社長です。
建設現場で起きた死亡事故などを隠蔽しており、非常に悪どい人物のようです。
鶴見と繋がって国元を殺した事により侠和会から怒りを買います。
国本夫婦
【一般人】
山村が幼い頃、面倒をみてくれていた恩人となる老夫婦。
妻の方は末期がんで余命幾ばくもない状態となっています。
夫は、非常に優しい人物ですが、瀕死の菊村を介抱したことで、菊村に証拠隠滅のため殺されてしまいました。
妻は仇を討とうと、侠和会を頼ります。
美南
【一般人】川谷の妻
美南は、元々は小料理屋の女将でしたが、現在は川谷の妻となっています。
侠和会にとっては良い姐さんとして慕われており、大切にされています。
前作で一時誘拐されてしまうものの、極道の妻らしい強気な姿勢を見せます。
まとめ
ポイント
- 菊村と辰巳は死亡。二人の凶行は失敗に終わる。
- 丸神会の執行部は、未だガタガタ。大組織をまとめ上げられる人物が少ない
- 迫田組と侠和会の溝は深まる一方。特に若頭の岩尾は侠和会をよく思っていない。
- 自作より新章がスタートする
侠和会の最大のライバル、丸神会において、今最も力が大きいのは迫田組となっています。
この迫田と丸神会の執行部は上手くやれるのか、迫田が侠和会とどう決着をつける気なのかが今後の大きな課題となりそう。